白兎と冷酷人間

□急速に回る事柄
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この頃自分がおかしい。例えばフェイタンさ…フェイタンの部屋で寝ようとすれば目がさえてむしろ寝れないし、広間にフェイタン以外の人が居るのにフェイタンばかりに視線がいく。それにフェイタンが居ないとこでも頭に浮かんで顔が熱くなるし、フェイタンを前にした時なんて会話すらまともに出来ないのだ。


『…て事なんです…。』

「だから何でお前は俺に聞くんだよ。」


フィンクスさんの部屋に押しかけるように訪ねれば、首を締め上げられるだけで済んだ。いや、首を締め上げるのも変だけど、この旅団では突然押しかければ私の首と胴体がサヨナラしてるから、まだマシな方だ。それに今早朝だよね。そりゃあ怒るよね。フェイタンは何時でも起こしてく……てまたフェイタンの事考えてるし!


『だってクロロさんとシャルくんなんて絶対からかってくるだけですよ。人の気も知らないで傷に塩ねじ込んでくるタイプの人間です。』

「…何されたんだよ。」

『…。話せば1日はかかる程の事ですよ。』

「いや、話さなくていい。てか他の奴はなんて言ってたんだよ。そういうのは女に聞けよ。」

『マチちゃんとパクノダさんは仕事なんで電話出来ませんし、シズクちゃんには頑張ってねしか言われなかったんですよ!他の人は…もう聞かないでください…。』

「悪かった…。」


ここに常識人は居なくても相談は出来ないとは思わなかった。こんなの酷すぎる。元の世界より相談出来る人が居ないよ。


『とにかく私このままじゃいけない気がするんです!なんか…これは放っておいてどうなるとかじゃないと思うんです。…直感ですけど。』

「お前絶対に強化系だな。」

『はい?』

「いや、気にすんな。あー…、お前はさフェイタンとどうなりたいんだよ。」

『抽象的で至難な質問ですね。』


フェイタンとどうなりたい…。とにかくこの挙動不審過ぎる行動をどうにかしたいし、でもフェイタンの近くに居ると頭が回らないし…。
でもフェイタンと離れたらと考えると……あ、なんかすごく苦しいかも。心臓らへんが痛い。
でも挙動不審は行動は直したいわけで…


『私…もう生きていけないかもしれません。』

「は?何でそうなるんだよ。」

『もうダメです。私は太陽の下で塵になる運命なんです。』

「だから何でそうなるんだ。」

『だ、だってぇ…!あぁ、もう私フェイタンの部屋で寝れない!て事で泊めてください!』

「俺がフェイに殺されんだろ!?てか自分の部屋はどうした!」

『ウボォーさんとフェイタンのおかげで素晴らしいほどの荒れ模様です。てか何でフェイタンに殺されるんですか!?』

「はぁ!?んなの…。……。」

『……何ですか。』

「……。ああ!!お前らそろいもそろって面倒なんだよ!」

『いきなり何でそうなるんですかぁ!お願いです、このままじゃ自分の心臓に殺されます!』

「意味わかんねぇよ。」


溜め息つきながら煙草に火をつけるフィンクスさん。でも私が居るからってわざわざ窓を開けて、煙を外に吹いてくれるんだから優しいよね。てかなんか私の事のはずなのに、皆さんはまるでわかっているような雰囲気なのが悲しい。え、皆さんがエスパーなのか、私が残念なのかどっちなんだ。


「あのよぉ…、お前はフェイタンと一緒に居たいんだよな?」

『それは…もちろんです!』

「んじゃあ、今までフェイタン以外にそんな気持ちになった事はあるか?」

『似たような気持ちは多々ありましたよ。自分の命が危機に感じる時に。』

「(全く違ぇよ。)あー…、じゃあフェイタンと居る時の気持ちは嫌な気持ちか?」

『いえ、むしろ…逆な感じがします。』


なんて言うか心臓が口から出るじゃないかってくらい緊張はするけど、フェイタンの近くに居たい感じだし。居ない時なんてフェイタンの事を思うと口が緩むし…。あれ?私って変人みたいじゃん。


「んじゃあよ、フェイタンがもし他の知らない女と親しげにしてたらどうする。」

『…親しげ…?』

「例えば…腕組んで歩いてたり、セッ…あー…キスしてたりとかだな。」

『え…。』


フェイタンがそんな事出来るのかと思っちゃうけど、もし腕組んだりキスしたりして、優しくふれながらその人の事を見てたら…。


「…お、おい!?泣くなよ!」

『…フィンクスさん…どうしよう…。苦しい…。すごく…心臓が痛くて…握りしめられてる、みたい…。』


うわ、どうしよう。フェイタンだってもしかしたらそういう人が居るかもしれなくて、本当にその場面に出くわしちゃったら私の心臓潰れちゃうんじゃないか?え、この場合死因って何なの。てか涙が止まらないんですけど。


「あー…、お前自分の気持ちに素直になれ。」

『素直、ですよぉ…。』

「んじゃ、逃げんな。ちゃんと向き合え。相談ならよ…いつでも乗ってやっから。」


フィンクスさんはベッドに座ってた私を不器用ながらも、ポンポンと背中叩きながら頭を撫でてくれる。その優しさに何だか更に涙が出てくる始末だ。


『フェイタンに…会うと何だか、髪型とか気になったりとかするんです…。あ、あと、近くに居るだけで心臓が爆発しそうなのに…触れたくなるし…。』

「お前さ、前にフェイタンと偵察しに行った時の他の奴らと俺のアドバイス覚えてっか?」

『はい…。』

「それが俺の最大のヒントだ。答えは自分で見つけやがれ。」

『はい…!ありがとうございます!』


まだ流れてる涙をそのままにしながらお礼を言えば、照れたようで視線を逸らしながら乱暴に髪を撫でてくれた。


『今日の任務でフェイタンも帰ってくるはずですから、頑張ってみます!』

「おう、頑張れ「フィンクスー、ルカ知らない?フェイタンの部屋にも居ないみたいで……あ。」……。」

「…。フィンクス、お前何やてるね。」

「……。」


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