白兎と冷酷人間

□単純でない気持ち
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『あの…フェイタンさん…。』

「何ね。」

『これはデートでなく…何時もと変わらないんじゃ…!』

「ささとしろ。」

『理不尽だぁあああ!!』


やっとシャルさんの言ってた偵察する場所の街に着いた途端この仕打ち。ポイと投げられた先には物騒なものを持った人達。


「くそっ!死ねぇ!!」

『嫌ですからぁあああ!!』


身体を捻って何とか避けて、傘で吹っ飛ばす。他の人はそれを見て驚いているうちに傘で殴って、はい終わり。


「やぱり面白くなかたね。」

『ちょ!私使って何を面白くないとか言ってるんですか!!そもそもいきなり裏道へ行ったのはフェイタンさんであっで!?』


抗議してる私に容赦なく石を投げつけてきたフェイタンさんはスタスタとまた大通りに出て行く。え、ここに来たのって本当に何だったの。


『手、繋ぎましょうよ!』

「意味不明ね。」

『え、いや、カップルに見えるように…って感じで…。』

「無価値。」


全くこちらを見ずに言うフェイタンさんは、既にクロロさんの命令に背いてると思うのは私だけなのでしょうか。仕方なくトボトボ歩いていると、いきなりフェイタンさんが止まるので背中に頭突きをかましてしまった。


「……。」

『ご、ごめんなさい!』

「どこね。」

『え?』

「どこ迎えばいいか。」


え、この人知らないで前歩いてたの?私てっきり知ってるのかと思って着いて来たんだけど。だって迷う事なく歩いてるのにあれで目的地が知らなかっただと…?


「早く教えろ、ノロマ。」

『いてっ!…えーと、アルティナス美術館は……来た道を反対方向です…。』

「……。」

『いたたたた!私悪くないですからぁ!』


そんな事無視しながら私の髪の毛を引っ張って歩くフェイタンさんは本当に理不尽だ。私は全く何もしていないのにこの仕打ち!まあ、今までだってそうだけどね!!

そして私がさり気なく道を教えて歩けば、あっさり着いてしまうのだから気まずくて仕方ない。そして美術館に入って、エセブラックカードで馬鹿高い入場料を払って中へ入る。


『わぁ…!すごいですね!!』

「何が。」

『え、いやいや、美術品とこの館内の装飾ですよ。』

「興味ないよ。」


確かにフェイタンさんはこういうキラキラしたものとか好きそうじゃないけど、まさか鼻で笑われるとは思っていなかった。なんか1人ではしゃいでてバカみたいだ。


『で、何を調べればいいんですか?』

「シャルの言われた通りにすればいいね。」

『じゃあ手分けして早く済ませましょう。』


そう提案すれば、賛成と言わんばかりに2階へ上がるフェイタンさん。…私は強制的に1階なんですね。

仕方なくフラフラと歩くふりをして、セキュリティーや盗むものがどこにあるかチェックをする。
(字はこの間3人の優しい方々に教えてもらって本当に助かった…。)
そして、盗むものリストを見ながら次々と確認していくと、……ひのめ…?


『……。いやいや、まさか…。』


もう一度見れば…やっぱりひのめ…。緋の目の事だよね…?え、あんな眼球また欲しくなったの?
本当にクロロさんの美的センスがわからない!
そんな事を思いながら探してみたけどやっぱり緋の目はなかった。普通の美術館に飾れるものじゃないよね、やっぱり。


「遅い。」

『うわっ!ビックリした!?あ、フェイタンさんは見終わったんですか?』

「当たり前ね。」

『あ、待たせてすみません。』


別段気にしてるわけじゃなかったみたいで何も言われず、何もされなかった。よかったよかった。


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