白兎と冷酷人間
□不可解な事件
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『あー、幸せ…。』
何で私がこんなに幸せなのかって言うと…
「大げさ過ぎじゃないかい?」
『そんな事ないよ!だって3人と出掛けられるんだもん!!』
そう、パクノダさんとマチちゃんとシズクちゃんとお出かけなんだ。私は夜に仕事行かなくていいらしい。しかも3人も行かないから更にラッキー。
『私ね!こうやって女の子とお出かけする事あんまりなかったからさ!一生の思い出だ…!』
「そんなに喜んでくれて嬉しいわ。」
「そんな喜ぶ事?」
シズクちゃんの質問に勢いよく頷けば、興味なさそうに相槌されたけど今はそんなの悲しくない。
(今日の私は幸せなんだ!)
『どこ行きますか!?あ、何か食べますか!?』
「両手に食べ物持って言う言葉じゃないだろルカ。」
『だって…嬉しくって!』
するとマチちゃんは呆れながらも笑いながら頭をポンポンと叩かれる。
まるでお姉ちゃんみたなマチちゃんについ笑顔になる。
「まず服でも見るのはどうかしら?」
『3人となら何処でも幸せです!』
「なら盗みでも行くかい?」
『ごめんなさい、私がいけませんでした。』
「またね…。」
『?はにはへふか?』
「ルカ、それ言葉になってないよ?」
『ゴクン…すみません。パクノダさん、何がですか?』
「これよ。」
はい、と見せられたものは新聞。うん、新聞なのはわかるけど…
『こっちの世界の文字読めないですよね…。』
「今更かい?」
『だって文字なんてあんまり関係なかったし…。』
溜め息をつきながらもマチちゃんが読んでくれた題名は“またも大量殺人!”なんて物騒なもんだった。
てかこの人たちも同じようなものか…。
「今回は銀行だったらしいわ。」
「でもここってかなり強い奴が守ってるってシズク言ってなかったかい?」
「?私そんな事言ってないよ。」
すっかり忘れてしまったシズクちゃんに対してマチちゃんは溜め息をつくだけ。シズクちゃんは一回忘れたら思い出さないのは本当だったんだね。
「でも金品は1つも盗まれてないそうよ。」
『その人、何がしたいんですか。』
「わからないわ。」
「快楽殺人者が考える事なんて、ただ強い奴と戦いたいだけだろ。」
かなり嫌そうな表情のマチちゃんだけど、誰か心当たりがあるのかな?
そこでふと思い出す。
『そういえば、今日クロロさん達が行く場所もこの事件の場所から遠くないですよね?まさか会ったりして…。』
「戦闘馬鹿ばっかり行くんだからむしろ嬉しいんじゃない?」
「死んだりしたら面倒ですよねー。」
「シズク…あなたったら…。」
キョトンとしているシズクちゃんを見る限り、悪気は全くなさそうだけど、縁起でもない事を…。
(まあ有り得なくもないけど、普通の人なら。)
「まあ簡単にやられる奴らじゃないから心配はないよ。」
『それはマチちゃんの勘?』
「勘だ。てかそんな簡単に死んだら、もうとっくに死んでるよ。」
『そっかー。てか、道理でフェイタンさんは朝から機嫌が良かったのか。』
朝から刀とか色々手入れしてて、雰囲気はかなり楽しそうだった。やってる事は恐ろしいけど。
すると3人はジッとこっちを見てくるではないか。
(みんなやっぱり美人さんだなぁ…。)
「あんたさ、フェイタンとどういう関係なんだい?」
『どういう関係って…居候ですかね。』
「フェイタン、報われないね。」
「分かりにくいんじゃないかしら?」
「いや、これはルカがいけない。」
『ちょっとちょっと!何で私がいけないんですか!!…た、確かに居候はいけないですけど…。』
俯いてボソボソと言えば、ハアと頭上から溜め息。
「ルカ…あんた男と同じ部屋で寝るってどういう事かわかってる?」
『あの、言いにくいんですけど…私前の世界で同室に近かったというか…』
「男と?」
『はい…。壁を突き破られまして…。』
笑顔で突き破ってきた時は本当に怖かった…。
私の表情が悪かったのか、パクノダさんは心配そうな表情で見てくる。
「それもあんたの上司の仕業?」
『はい…。』
「…。あんたがそんなに鈍感なのはあながちそいつのせいかもね。」
「ですねー。」
『うぅ…。』
その後慰めながらも私は3人でアジトに帰った。
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