白兎と冷酷人間

□団長違いと死刑宣告
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「フィンクス、誰だそいつ。」

『あの…どなたでしょうか?』

「…は?」

「………。」

「………。」

『…え、痛い痛い痛い!お願いだから髪の毛引っ張らないでぇえええ!!』


あの後髪の毛を引っ張ったままだと移動しずらいとかで、まるで荷物を担ぐようにしてビルの上を忍者みたいに移動して数十分。
お腹から何度今日食べたものが出そうになったか。
で、今は廃墟としかいいようのないところに人がチラホラ。うわぁ…みんな強そう。で、目の前の人がリーダーか、オーラでわかります。


『な、何で髪の毛引っ張るんですか!?』

「お前嘘ついたね。」

『嘘ぉ!?私ならこんな状況になるような嘘つきませ…いたたたたっ!!!』


マジこの人容赦ない!何本か私の髪の毛床に散ってるし!
てか喋らせる気がないのか。


「お前団長と知り合い、言たね。」

『ならとっっても嫌ですが、団長を連れてきてください!』

「団長はこの俺だ。」


声の元に視線をずらせば、リーダー的なオーラの男の人。あ、違う支団だったか。なら友好的にこちらが下手に出とけば揉め事はないだろう。


『あの…失礼ですが、第何支団でしょうか…?』

「何だそれは。」

『はい…?』

「俺達は幻影旅団だ。」

『ほぅ……え?』


春雨じゃないだと…?え、じゃあ何?まさかの団長違い?てか幻影旅団って…


『旅芸人か何かですか…?』

「………。」

「……死にたいか?」

『ぎゃああああ!嘘です嘘です!!ごめんなさぁああいぃいい!!』


なんかすごい殺気だった!絶対死んじゃうから!うわ、一気に汗出てきた!
殺される前に土下座をする私。え?プライド?さっき髪の毛と一緒に抜け落ちました。


「ん?お前右手見せてみろ。」

『あ、私の土下座とか無視で「指切り落とされたいか。」今見せます!』


それはもう瞬間的速さで幻影旅団の団長さんに右手を思い切りパーにして見せる。すると優しさ手つきで右手を掴まれて、ジッと右手を見られる。
え、何、ちょっと怖いけどこんなイケメンさんに見つめられるなら、右手をもっと大事に扱うべきだった…!!


「やはりな…。」

『え、はい?何でしょうか。』

「シャル、俺が狙ってたものに間違いはないか?」


私の右手を掴みながら、瓦礫に座っている人に話しかければ、「なにー?」なんて緊張感が全く皆無な声でやってくる。
おぉ、かわいい系男子だ。


「んーと、たぶんこれ本物だね。先に盗まれるなんて、フェイタン達何やってんのー。」

「…うるさいね。」

『いたたたた!?え!?私何もしてないのに、何で髪の毛…!!』


どう見ても八つ当たりとしか言いようがない。何なんだよ、かわいい系男子も笑ってるだけで助けないし、旅団長様も指輪見てるし、ジャージ男はあっちで何か楽しげに喋ってるし。


「これどこで手に入れた。」

『どこって言われても…もらったんですよ。私の言う団長に。まぁ半ば押し付けられたんですが。』

「そうか、これを付けて何か変わった事はあるか?」

『え…はい…。いきなり美術館に居ました…。』


この男、何か知ってる。楽しそうに唇が弧を描いているところから、私に何が起きたか知ってる。


『あの…この指輪、何なんですか…?』

「知りたいか?」

『はい、是非とも。』

「なら指輪をよこせ。それが交換条件だ。」

『いいですよ……あれ…?ふん!……え?』

「どうした、早くしろ。」

『それが………抜けません。』


ちょっと待て。私がどんなに力を込めても駄目なのだが。どんなトリックだ、あのアホ毛団長はなにしやがったんだ。


「なら簡単ね。その指、切り落とすまでね。」

『はいぃいいい!?ちょ、何で、どばっちり過ぎる!』


バッとその場から立って、少し離れた所に着地する。一瞬の事に少し周りの空気が変わった。
やっばーい…。穏便な平和的に解決が私の主義なのに、自らその望みを壊すとか…。


「念能力か?」

「でも全くわからなかったけど?」

『念…?え、なにそれ…。じゃなくて!私は指切り落とされるような事はした覚えないんで、さようなら!』


ええい!もう逃げてそれから自分で状況判断しよう!
私は近くに転がされていた自分の番傘を引っ付かんで、足に力を込める。



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