ちゃいるど!!
□覚悟と私
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私が旅団のみんなを守るなんて言ったけれど、それは私が強くならなきゃ問題外の話なんだ。ディオンだって一応旅団の1人。ならそれなりに強いはず。それなら今の私じゃ話にならない。
(力だって念だって知識だって…私には足りない…。)
急がなきゃいけない。旅団のみんなは警戒心が強いけど、信用した仲間には情の厚い者もいるんだから。
(それにみんなが信用していなくても、もしクロロが…)
「ユナー?あれ?おっかしーな、この辺に居たはずなんだけど…。」
『あ、はい。シャルさん、どうしたんですか?』
「うわ!ビックリしたー…。本当に絶が上手くなったね。あ、団長が呼んでるよ。」
『わかりました。』
私の念は確かに上達している。こうやってシャルさんだって気付かない時があるんだから。
…未だにクロロとフェイタンさんには気付かれるけど。でもあの2人なら納得してしまう自分がいる。
シャルさんと広間に行けば、クロロとウボォーさんとノブナガさん、フィンクスさん、フェイタンさんが居た。……こんなに特攻隊と集めて戦争でもする気なのだろうか。
だけどもう1人の存在に私は表情を一瞬歪める。何故ディオンが居るんだ。
『……どうしたの?』
「ユナ、お前に頼みがある。」
『頼み…?私に出来る事なら構わないけど。』
「実は今回狙っているお宝、ちょっと俺達じゃ難しいんだよね。」
はい、とシャルさんに渡された資料を読めば、写真と名前を見て思い出す。
『ウェイリー=シャルロット、確か御曹司で様々な美術館を所有している人ですよね。そして裏の顔は珍しい人間コレクターであり、ロリコン。あまりいい噂は聞かないとか。』
「さすがユナ。説明せずに済んだよ。」
「ユナ、俺が何が言いたいかわかるか?」
『…どうせ金庫が生きた子供じゃないと開かない設定になっているんでしょ?嫌な趣味してるね、このウェイリーって人。』
苦々しい表情で言えば、シャルさんは驚いた表情をしていて、クロロは「そうだ。」と笑みを浮かべた。この人達が子供と手をつないで歩いているなんてあまりにも想像出来ない。…あ、でも私とよく手はつないでくれているっけ。
『いいけど、私は殺しは出来ないよ…。』
「それは問題ない。そのためのこいつらだ。」
『…こんなに人、必要なの…?』
「ディーラの情報では珍しい人間とは念能力者が多いようだ。そして奴は用心深く、多くの用心棒を雇っているそうだ。」
『え…?』
「どうしたの?」
『何でもないです。』とシャルさんに言うけど、頭はかなりの混乱だ。クロロはこの旅団で一番警戒心が強い。それも相手にはバレないように。だからといってむざむざ罠にもかかるわけでもない。
今までシャルさんと調べてもらうように頼んだ人の情報以外、クロロは信用しなかったはずだ。
そしてそれは旅団のみんなにも言えた事。
『わかった…。じゃあ今日の夜でいいの…?』
「あぁ、悪いな。」
『気にしないで。蜘蛛の為になるなら嬉しいよ。』
クロロに笑いかけながら言えば優しく笑んで頭を撫でてくれた。何時もと変わらない笑み。なら彼は、彼等は何が変わったんだ…?
チラリと見たディーラは、あまりにも綺麗過ぎる笑みを浮かべていて底知れない恐怖が込み上げてきた。
『じゃあ私は部屋で少し読書でもするよ。』
「ワタシ、あの本1つ読み終わたね。今部屋来るといいよ。」
『本当ですか!?なら行きます!』
「ユナ、お前よくあんな趣味悪いもん読めるよな。」
「趣味悪いの、フィンクスの眉なしほうね。」
「あぁ!?やんのか!?」
「ガキなんだから外で遊ばねぇと身長伸びないぜ?」
『ウボォーさんよりは小さくていいです…。』
「んなのわかってるよ。やっぱユナは軽いな!」
ヒョイと私を持ち上げて笑うウボォーさんに釣られて私も笑う。すると下に居たノブナガさんが思い出したような声で呼んできた。
「そういやユナ、お前に持ってきた土産渡してなかったな。」
『あ、そうでしたね。ありがとうございます。』
「いいって事よ。」
ニカリと笑うノブナガさんに私も笑い返す。こんなにみんな変わらない。
だけど嫌な予感は拭いきれないままでいた。
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