ちゃいるど!!
□奇術師と私
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朝起きて朝食を食べていつも通りトレーニングをする、それがこの頃の私の日課。やりたくないなんて絶対に言えないし、やらなければご飯はナシ。そう、全ては私次第なのだ。
筋肉痛にはもうならないがインドア派だった私は好んで運動をしないし、必要以外には外にも出なかった。なのでトレーニングは苦痛でしかない。
『ごちそうさまでした。』
今日も当たり前にトレーニングがあって、朝食を食べ終わった私は必然的にトレーニングへ行かなければいけない。あぁ嫌だな、と思いながら外に出ようとすればクロロに声をかけられる。
「今日は何時もの半分でいい。」
『え?』
今のは幻聴だろうか。私はそんなに嫌で嫌で仕方なかったのか。クロロを凝視すればため息をつかれた。
「今日は半分でいいと言ったんだ。あとはあまり遠くまで行くな。」
『は、はぁ…?え…何で…?』
今までどんなに仮病を使おうが少し気分が乗らない時でも無理矢理、強制的にやらされていたのに何故。まさか見込みがないとか…?冗談じゃない、こんなに頑張ってそうだったらこのやるせない気持ちはどこにぶつければいい。
「午後出掛ける。」
『!!それって…』
「あぁ、だから早く終わらせてこい。」
微かに笑いながら言ったクロロに私は大きく頷いて、玄関から出た。先ほどよりも足取りが軽いような気がして、心の中で現金な奴だなと考える。
あの本屋にも行きたい。それにこの間クロロが買ってきたプリンのお店にも行きたいし、そうだお昼は外で食べないか後で提案してみよう。
楽しみで色々考えていた私は何時の間にかかなり走ってたみたいだ。ここから引き返せば丁度いつもの半分くらいかな、と思い引き返し、あまり人が通らない道に差し掛かった時だ。
曲がった直後に目の前から衝撃に尻餅をつく。漫画のような展開だ、と内心思いながらぶつかったものへ視線を巡らせて、カチリと身体が固まる。何故、何故ここにこの人物がいるのだ。
「おや、大丈夫かい?◆」
特有の喋り方、いやそれよりもこの外見。忘れるわけがない。私が漫画で唯一畏怖の感情を抱いた人物だ。奇術師ヒソカという人物に。
『あ、はい、大丈夫です。ぶつかってすみません。』
「なら良かった♪僕もあまりちゃんと見てなくてごめんね◆」
ヒョイと片腕を掴まれて立たせてくれたヒソカは始終笑顔だ。
いや、もしかしたら通常は普通の性格なのかもしれない。確かに変態だろうが、いつもというわけではないんだから。少し心の中で謝罪をして、歩こうとすれば右足首が少し痛んだ。
「おや?◆捻ったのかい?◇」
『あ、大丈夫です。お構いなく。』
「でもこのあたりはあまり安全じゃないよ?◆途中まで送ってあげるよ♪」
確かに時々変なチンピラが居たりするのは否定できない。逃げれない事は多分ないと思うが…。
断る私にヒソカは半ば強制的に一緒に帰る事となった。何て事だ、これではクロロの家に住んでいる事がバレてしまう。
バレて悪い事はないと思う、確かヒソカはクロロと仲間だったから。でも直感的バレてはいけないと言っている。これはかなりマズい。
『あ、途中までで本当に大丈夫です。途中からは別にそこまで治安悪くないので。』
「そうかい?◆」
私が頷けばヒソカも別にそれ以上何も言わなかった。なんとか一難は去った…。
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