白兎と冷酷人間

□規格外過ぎるもの
1ページ/1ページ



飛行船乗ったり、電車乗ったりで着きました、パトギア共和国!もちろん傘はさしてますとも。


『えーと…ククルーマウンテン行きのバスに乗るんだよね…。』


シャルくんに調べてもらった紙を見ながら辺りを見渡せば、あのハンター文字でククルーマウンテン、と表示してあるバスを発見。急いでバスに乗り込めば、どうやら観光バスらしい。観光目的じゃないのもいるけど…。
どう見ても観光するような風貌ではないのが3人。まあクロロさん達みたいに強くないだろうから、何かあってもそれから止めればいっか。
自己完結して案内された席に座る。一応クロロさんとシャルくんとパクさんに画像付きでメールを送った。そして送ってすぐに帰ってきたのはやはりシャルくん。


『《お土産楽しみにしてるからね。》って…。私、観光じゃないんだけど…。』


でもクロロさんのお金だから惜しみなく使えるから、買う暇があったら買って行こう。別に返信する事もなく、走り出したバスから外の景色を少し見て、ソッと目を閉じた。











「ここがククルーマウンテンです!」


ガイドさんと周りのガヤガヤする声に目を覚まして窓の外を見れば、不気味な怪しい山。周りに習って外に出れば、やっぱり不気味だ。


「これは通称黄泉への門。」


黄泉とはまた物騒な名前だなぁ…。まあ確かにゴツくて不気味な扉だけどさ。さてさて、次はどこへ……え?何度も見るけど文字は変わらない。いや、まさか…


「この山のどこかに未だ見た事もない、ゾルディック一家が住んでいると言われています。」


着いた所が玄関みたいなものだよ。……て、書いてあるけど、え?これ開けるの?それよりもこの山のどこかって…遭難しないかすごく不安なんだけど…。
呆然として門を見ていれば、さっきの3人が門の近くにあった小屋らしき所でおじさんの胸ぐらを掴んでいるのを見た。


『やめてください。脅して開くようなものじゃないですよ。』

「!な、なにすんだ小娘!」

『小娘で結構です。とにかくこの手離さないと、話が進まないんじゃないですか?』


おじさんの胸ぐらを掴んでいる腕に少し力を入れれば、素直におじさんを降ろしてくれた。おじさんに近寄れば無事みたいだ、良かった。


「じゃあ扉の方開けさせてもらうぜ。」


スタスタと歩んで行く先はあの黄泉の門ではなく…小さい扉。あの門はフェイクとか?
そんな事思っていると、中へ入って行った3人らしき悲鳴が辺りを緊張と恐怖へと変えていく。おじさんは、やれやれ、と呟いた。


「ミケ、太っても知らないよー?」


緊張すら感じない声でポリバケツを持ってきたおじさん。すると扉が開いて出てきたのは、人の骨3人分と……何か動物の手。


『でか…。』

「お客さん!早く乗ってください!」


ポツリと呟いた後にバスに乗っているガイドさんから急かすように声をかけられる。たぶん今のでお客さんは早く帰りたくなったんだろうな。うん、わかる。私も帰りたいもん。


『あ、行っていいですよ…。私用事がありますので…。』


苦笑いをしながら言えば、ガイドさんはギョッとした表情をしていた。いや、本当は帰りたいですよ?今すぐにでも帰りたいよ?でもさ、これで帰ったらボロクソに言われたうえに借り作る事になるんだよ!クロロさんに借りとか絶対に嫌だからね!!
発車したバスを悲しげに見ていれば、おじさんに話しかけられて振り返る。


「君も賞金稼ぎかな?」

『あ、いえ違います。イルミさんから取りに来てほしいものを頼まれて…。』

「あぁ!それならイルミ坊ちゃんから伝言を授かってるよ。」

『え!?本当ですか!?』


もしかして屋敷探しをしなくて済むんじゃ…


「“屋敷で待ってるね。わからないだろうからゴトーに聞いて。”って仰っていたよ。」


済まなかった。わからないの前提なら迎えに来てよ。てかゴトーって誰ですか。知らない人の名前言われたってわからないから!


『えっと…ゴトーさんですか…?』

「いや、私はゼブロだよ。」


…まず屋敷探しの前にゴトーさん探しからか…。
深く溜め息をついた私にゼブロさんは苦笑いをした。とにかく早く行ってゴトーさんに案内してもらったらすぐに帰ろう、そうしよう。


『えっと…その小さな扉から行けばいいんですか?』

「ミケに食べられたいなら、そっちだよ。」

『ミケ?』

「番犬さ。」

『ミケなのにですか?』


頷くゼブロさんに私はミケの名付け親見てみたくなった。犬と猫の区別がつかなかったのか、わざとやったのか…。
ゼブロさん曰わく、ミケに食べられたくないなら黄泉への門、実は試しの門という名前の門から入るそうだ。うーん、重そう。


「ちなみに片方で2トンあるよ。」

『2トン…。』


2トンがどれくらいなのかわからない。だって今までこれが2トンです、って物を持った事ないし。ちょうど曇った時を見計らって、傘を畳んで腕をまくる。全力まではいかないけど結構力をいれて門を開けよう。


『ふんっ…!ぬ!』


両手をついて力を入れれば、ゴゴゴという音と共に開く門。だけど一番上に7と書いてある門だけ開いてない。つまりダメだったとか?


『えっと…これって全部開かなきゃダメですか?』

「い、いや…もう入って大丈夫だよ。途中まで案内しよう。」


顔が少し引きつっていたゼブロさんに私は首を傾げた。


.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ