白兎と冷酷人間

□名前の知らない感情
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今日はついにフェイタンの家に行く日。今更だけどさ私…フェイタンと2人きりか…。フェイタンの家は2つ部屋があるみたいで、1つは物置的なものになっているからそこを使っていいらしい。てか何で一人暮らしで2部屋も…。いやいや、そこじゃなくて、部屋が違ってもやっぱり2人きり。え、ど、どうしよう…!今までだってフェイタンの部屋で寝てたけど、何故かこの頃目がさえてしまうせいであんまり寝れてないし。あれ?これって更に寝れないんじゃない?


「ルカ、手が止まってる。」

『あ、すみません!…マチちゃんにフィンクスさんまで本当にありがとうございます。』


そうだったそうだった。今はまあ数少ない私の荷物(大半昨日の服)をまとめるのを手伝ってもらってんだ。フィンクスさんは何か浮かない顔してるところから、マチちゃんに捕まってここに来たんだろう。ごめんなさい。


『フェイタンの部屋ってどんな感じなんですか?』

「まあ…一言で言えば、不気味。」

『ぶ、不気味って…。幽霊屋敷かなんかですか…?』

「そうじゃねえけどよ、あいつが住む所って毎回薄暗い所にあるやつばっかで、周りに住んでる奴が薄気味悪ぃ。」

『あー…それくらいなら別に大丈夫です。それにちょくちょくアジトにも顔出しますし、問題ないです。』


それくらいなら前の世界とあまり変わらないし、問題ない。まあご近所と仲良く出来ないのはちょっと残念だけど、蜘蛛のみんなと居るところからそれは諦めた方がいいかな。


「てかお前、大丈夫なのかよ。不眠症気味なんだろ?」

『だからアジトに来て、昼寝をするんです。』

「本当に大丈夫かい?」


作業を止めて心配してくるマチちゃんに笑顔で頷けば、溜め息つきながらも頭を撫でられた。


『それに何だかとても楽しみなんで全然大丈夫ですよ!かなり緊張してますけど。』


ヘラッと笑えば、2人は顔を見合わせて呆れ顔で溜め息した。…もう本当に何なんだ。まとめ終わった荷物を広間に運べば、ノブナガさんとウボォーさんに話しかけられた。


「今日フェイタンの家行くんだろ?手伝ってやるよ。」

「俺は今日団長達と仕事だから出来ねえんだけどよ。」

『本当ですか!?フィンクスさんも手伝ってくれるみたいで、更に早く終わりそうで助かります。ウボォーさんのお気持ちだけでも嬉しいですよ。』


お仕事頑張ってください、と言えば笑顔で返事をしてくれた。


『お礼したいんですけど、今お金がないんで…すみません。』

「それは俺らのせいだからな…。じゃあまた飯作ってくれよ。」

『そんなものでいいなら、お安い御用で「ルカ。」…何ですかクロロさん。』

「お前、料理なんて出来たのか。」

「一番無縁だと思ってたんだけど。」

『クロロさんとシャルくんは私をどこまで下に見てるんですか!?』


さっきまで興味なさげだった面々まで私を見ている所からして、かなりみんな失礼だ。


「ルカの料理はすげえ美味ぇぞ!色んなやつ作ってくれるしよ。」

「そういやぁ、ジャポン料理も作ってくれたよな。」

『前の世界では時々料理してましたし、色々な場所行ってたのでその時に覚えましたね。まあ美味しいかはわかりませんが…。』

「ワタシ食べた事ないよ。」

『えっと…前にした時は確かお仕事に行っていた気がします。食べた事あるのは、フィンクスさん、ノブナガさん、ウボォーさん、マチちゃん、フランクリンさんくらいじゃないでしょうか…?』


そしたらちゃんと答えたと言うのに、瓦礫を投げつけられてお腹に当たった。地味に痛くてしゃがみ込めば近くに居た、強化系トリオが慌て始めた。何時もこれくらいのダメージだったら、心配もせずに攻撃してくるっていうのにどうしたんだ。すると何時の間にか目の前に居たフェイタンを見上げれば……なんか怒ってる…?


「これからワタシの家住ませてやるかわりに飯作るね。」

『へ…?構いませんけど…。』


え?それだけ?別に私のでいいならいいけど。一方フェイタンは何か満足げに何処かへ行ってしまった。


『何だったんだ…?』

「フェイタンもルカの料理食いたかったんじゃねぇか?」

『えっ!』


フェイタンが私の料理を?いやいや、これはウボォーさんの直感なわけで…。でもウボォーさんの直感はよく当たるし、信じても…。てか料理の腕上げればよかった!てかフェイタンって何が好きなんだろう?何でも食べるかな?いやいや、一番最初はやっぱり本人が好きなものを…。て、何私色々考えてるの!でも考えるべきだと思うし…。


「お前大丈夫か?」

『はい…。』

「顔赤いよ?」

『はい…。』

「ルカ。」

『はい…。』

「今度プリンを作ってくれ。」

『はい…。』

「………。」


よくわからない緊張が芽生えた時でした。


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