白兎と冷酷人間
□行動の裏
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「これなんかどうかしら?」
「確かにいいんじゃない?」
「うん、私もそう思う。」
『そ、そうですか…?』
ついに明日の夜にフェイタンの家に行く。で、今は持っていく服を買いに来てるんだけど…
「ルカは髪も肌も白いからね。オレンジとかは?」
「黒もあってるだろう。」
『何であなた方も居るんですか。』
女4人にこの2人、シャルくんとクロロさん。何故この2人まで女性服コーナーで一緒に選んでいるんだ、しかも私の!そして何故か違和感を感じないのが更に嫌になる。
「何故って、荷物持ちとして連れて来られたからに決まっているだろう。」
『その割にはフランクリンさんしか持ってないんですけど!』
荷物持ちなくせして外で待ってるフランクリンさんしか持ってないじゃん!てか私の服なのに何で私じゃなくてみんなが選んでいるんだ。カゴ何個分買うつもりなんだ。私が1カゴの服を戻している内に3カゴがいっぱいになっている。もういいじゃん、てか誰が買うの。私一文無しなんですけど!
『持って行き過ぎるとフェイタンに燃やされますよ…。』
「だってアンタ、こっち来た時の服と私のジャージとどっかから持ってきた服しかないじゃないか。」
『あ、ちなみにどっかから持ってきた服はヒソカさんからの「もしもしフェイタン?あのルカの服今すぐ燃やして。」ちょ!?待って!?』
そんなのも虚しく切られる電話に私は涙目。せっかくもらったのに、ヒソカさんな何て言ったら…!
『わ、私もらったものだから大事にしてたのに…!』
「なら今回アタシ達からやるんだから文句ないだろ?」
『うぅ…そ、そういう事にしておきます…。』
「ルカ、これはどうだ?」
『何でクロロさんはさっきから黒ばっかり勧めてくるんですか!』
「フェイタンは黒と赤が好きなんだぞ?」
『え、それが答えなんですか?それとも私の話をまた無視したんですか?』
だって私クロロさんの事聞いたのにフェイタンさんの趣味されても…!てかやっぱりフェイタンは黒と赤が好きなんだ…。いつも服装がそうだし。
「これから住む家主に少しでも気に入られた方が得だろう?」
『ぅ…た、確かに…。』
なら決定だ、と言わんばかりにまたカゴに入れていく。私は仕方なくカゴの商品を戻していくのだった。…黒と赤はまあ残しておいていいだろう…。
このままでは埒が明かないと思い、強制的に終了させた。そしてお会計はマチちゃんと、まさかのクロロさんとシャルくん。どうやら私のお金を使ってしまったから払ってくれるそうだ。でもお金は払ってやったんだから荷物持ちはしないと言いやがった。やっぱりそんな事だろうと思ったよ!少しでも信用した私がバカだった…!
だから仕方なく私とフランクリンさんと、軽い荷物を女性陣が持ってくれた。あの2人は途中どっかに消えた。…何しについて来たんだ。
「おー、沢山買ったなー。」
「シャルと団長ならさっき帰ってきたぜ?」
『本当に何しに来たんだ、あの2人。……あのつかぬこと聞きますが、何故焚き火なんか…。』
フィンクスさんとノブナガさんはアジトの外で焚き火中。こんな季節に焚き火って…。
だけど火の中で何か燃えている事に気付く。
『何燃やしてんですか。』
「お前宛てに来た荷物。」
後ろから声が聞こえて、振り返れば丁度フェイタンが箱を火の中に投げ捨てた。わぁ…すごい勢いで燃えてるー。
『…………。はあ!?え、な、何で…!わ、私…何かしましたか…?』
もうここまで来ると怒りよりも悲しみだ。何で私の物なはずなのにこうやって私の許可なく燃やされてるんだ。ジワリと滲んでくる涙に顔を歪ませれば、フィンクスさんとノブナガさんが慌て始めた。
「こ、これはよ!お前ぇに送られてきたもんだが、中身は贈り物じゃなかったんだぜ!?」
「お前すぐに信用して中身開けるだろ?中身は危険物だったから先に処理してやったんだぜ?なあ、フェイ!」
『そ、そうなんですか…?』
「………そうよ。中身危険物だたね。ルカ、考えずに開けるバカだからワタシが処理してやたね。」
そっか…。なんだ新しい嫌がらせじゃなかったのか。もしそうだったら、明日フェイタンの家行くの本当に悩んでいたところだ。
『そういえば、ヒソカさんから貰った服は「燃やしたね。」…そうですか。』
本当に燃やしたのか。まあ燃えた物に何を言っても仕方ない。そう思う事にしよう。そしてヒソカさんにはちゃんと謝ろう。
『あ、そういえばシャルくんとクロロさんにお礼言ってなかったので言って来ます。フェイタンとフィンクスさんとノブナガさんもありがとうございます。』
ペコリと頭を下げて、駆け足でアジトの中へ入る。何だかフェイタン以外表情が微妙な感じだったけど、きっと彼らはお礼を言われる事があまり少なくてあんな態度をとったんだろう。
「…で、ルカに送ってきた奴は誰なんだい。…嫌でも予想はつくけど。」
「ヒソカだ。フェイの部屋に置いてあったらしい。」
「…中身は何だったの?」
「………ネグリジェと下着。」
「あの変態…。」
「どうりでフェイタンが不機嫌なわけだ。」
「シズク…お前殺されたいか。」
そんな会話が繰り広げられてるなんてつゆ知らずの私でした。
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