ちゃいるど!!

□違和感と私
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結局現在の夜まで騒いでいるこの人たちに私は驚いている。この人達はどれだけ体力があるんだ。まあ確かに何時も酔わないけど、今日は少しほろ酔いってところ。……ほろ酔いでいられるのもすごいけど。


『ちょっとお手洗い行ってきます。』


その言葉にフェイタンさんがコクリと頷くので驚く。聞いてはいるけど反応はしないと思っていたのに。もしかしたら彼は酔っているのかもしれない。
明日にはきっと広間には死体のように人が転がっている事を想像して苦笑いを浮かべる。明日は介抱に大変だ。


『あ…。』


鏡に映る自分はやはり子供のままで少し安心をする。それと同時に胸にあるものをギュッと握りしめて、自然に笑みが浮かぶ。


『中、何入れようかな…。』


考えて思いついた。それは自室にあるためにそれを取ってから広間に戻ろうと来た道とは違う道を戻る。
だけどそれがいけなかった。


「あ、ユナちゃん。」

『!』


自室から広間に戻る途中の暗闇からディーラさんが現れて無意識に表情が固まる。それに今は彼1人でここは私を含めて2人しかいない。
気まずさもあるがそれ以上に心臓が痛いくらい早く脈打っている。


「良かったら洗面所教えてくれない?ちょっと頭からお酒かぶっちゃって…。」

『あ、はい、大丈夫ですか?』


早くこの場から去りたい気持ちでいっぱいだったが、彼自身は何もしていないのに私の感情だけで対応するのはよくない。こっちです、と少し奥にある洗面所へ案内する。


『ここです。タオルとかはこっちに「ユナちゃん。」…はい。』

「君、俺のこと嫌いでしょ?」

『え…』


嫌いと本人から聞かれたのに驚きもある。だけどそれ以上に妙にその言葉が今の私にちょうど当てはまった事に更に驚いた。


『そう、かも、しれません…。』

「正直だねぇ。」

『すみません…。』

「でもそういうところ、変わらないね。」

『え?』


パッとディーラさんを見れば目が合うので、ソッとそらした。するといきなり腕をひかれて反応が遅れる。今の状況はディーラさんに抱きしめられているといったところだ。


『あ、あの…』

「久しぶりって言ったよね?とっくに死んだと思ってたよ、   。」


囁かれた言葉に目が丸くなる。
呼吸が止まる。
今彼は何と言った?
久しぶり?死んだ?いや、それよりも…


『ど、どうして…』


私の名前を知っているんだ。ユナではない、今までの名前を。
過呼吸な状態の私は彼から離れようとすれば、更に強く抱きしめられる。


「別に記憶も名前も元の姿も返してあげてもいいけど、ここまで君を変化させた彼らに更に興味をもった。」


私は返事も反応するわけでもなく、ただ頭に入ってくる言葉が反響する。心臓は更に加速する。


「少しこの状況を楽しんでもいいかな。命令で仕方なく来たけどなかなか楽しめそうだ。」


抱きしめていた手と腕を掴んでいた手を離されて、その場に力なく座る。


「別に誰かに言ってもいいよ。だけど、正式な仲間とただの団長さんのお気に入り、どちらを信じるか考えてね、ユナちゃん。」


彼の笑い声が廊下に私の頭に反響する。
誰なのか知らない。だけど震える身体が言っている。彼の事は知っている、そして彼は危険。私にとってもクロロ、旅団にとっても。


『私が…』


私が何とかしなければ。
震えている手を握りしめて、ポケットに入っている携帯を出す。
送ったメールはすぐに返ってきて、暇人だなと心の中で悪態をつく。


『僕も横取りされたくないから協力する…か。』


相手が何を横取りされたくないのか知らないけど、協力はしてくれる。それはいつ裏切られるかわからない。いわゆる賭けだ。
(だけど…)


『これしかない。』


目をつむって映るのはクロロ。あの人を守るんだ。今まで守ってもらったんだから。
立ち上がった私はギュッとペンダントを握りしめた。


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