白兎と冷酷人間
□少しの進展
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『ハァ…。本当に人使い荒いなぁ…。』
こんな朝早く、朝帰りのフィンクスさんに叩き起こされたと思ったら団長が呼んでる、だとさ。
あの人は他人の為に考える事しないのか…!
『てかフィンクスさん、香水なんかつけてたっけ?』
私の中のフィンクスさんは男臭いか汗臭いか血の臭いがしたはずなんだが…。
(まさか…)
『恋したのかあの人…!』
「お前、朝からうるさいね。」
『あでっ!…てあれ?何でフェイタンさん居るんですか?』
さっきフィンクスさんと一緒に(無理矢理)起こした後、部屋から追い出されたような…
「ワタシがどこに行こうが関係ないね。」
『そうですけど…』
そんな言い方しなくてもいいじゃないか、とショボンとしていたら軽くため息をつかれた。
「団長に呼ばれたよ。」
『へ?…あ、そうなんですか。なら私と一緒ですね。』
ちゃんと答えてくれた事が意外で内心驚きながら答えたら、ちょうど広間についた。
そこには少し眠そうなクロロさんと、爽やかな笑顔で挨拶してくれたシャルくん。
『シャルくん、朝から輝いてますね、おはようございます。てかクロロさん、眠いならこんな朝に設定しなければいいじゃないですか。』
「ルカ、お前に任務だ。」
どうやら朝でも眠くても、クロロさんのスルースキルは発動するらしい。
するとさっきの眠そうな表情から変わって、何時もの極悪人面になったクロロさんがシャルくんを呼べば、シャルくんから渡されたのはいつぞやのブラックカード。
『な、なぜ奴がここに…!!』
「何でそんなに怖がってるの?」
『シャルくん!あなたは自分のやっている事の重大さに気付いてください!!』
するとシャルくんは、うるさいよ、なんて真っ黒な笑顔で言うもんだから反射的に謝ってしまった。この頃シャルくんまでもが私の扱いが酷い気がする。
『…で、このブラックカードさんを私に渡して何をするんですか?』
「偵察に行ってこい。」
偵察…?いつも偵察要らずの優秀なシャルくん情報があったおかげで無縁な言葉だったが、まさかシャルくんでも調べられないのか!
チラリとシャルくんを見たら、目があってニコリと
「いいから行ってきてよ。役にたてるんだから珍しいじゃん。」
毒を吐かれた。
どうしたんだ、シャルくん。何時もの数倍色々と真っ黒なんだが。
『いいですけど…そんなシャルくんでも集められない情報をどうしろと…』
「何でもするって約束だろ?それともルカは俺を馬鹿にしてるの?」
『こき使って頂けて光栄ですありがとうございます。』
怖ぁああああ!!えっ、なんであんなに怒ってるの!?私は無実だよね!?だって刃向かう事なんて出来ないもん!!
ノンブレスに営業マンのお辞儀並みの私に頭上から鼻で笑ってくれるフェイタンさん。
「あ、ルカ1人で行くわけじゃないから。」
『あ、そうな「フェイタンよろしくね。」…んでぇえええ!?』
シャルくんが笑顔で放った言葉に驚いたら後ろからフェイタンさんに殴られて、私はその場にしゃがみ込む。身体的痛さより精神的に痛い。
「何でワタシ、こいつと出掛けなければいけないね。」
「ルカ1人ではヘマしそうで不安だからだ。」
「だからフェイタンも一緒ね。」
「……。」
『ちょ、フェイタンさん!いつもの反論はどうしたんですか!!』
黙り込むフェイタンさんに言えば、お前せいね、と言われた。そして反論出来ない私は虚しさいっぱいだ。
「一応カップルらしくしてね。」
『え…?』
「は…?」
かっぷる?え、新しいカップの種類ですか?
「な、なんでこんな奴とそんなくだらない事しないといけないね…!!」
「だって友達もなんかおかしいだろ?それならそれが一番だし。」
「ならフィンクスかシャルか団長が行けばいいね!」
「フィンクスは寝てるし、俺と団長は違う仕事があるんだよ。て、事でルカは何かある?」
『あの、つかぬことお聞きしますが…カップルって何をすればいいんでしょうか?』
するとフェイタンさんまでもが3人同じように、珍獣を見るような目でこっちを向く。
(だってだって!)
『わ、私あなた達とは違って、恋愛初心者なんですよ…!てか恋愛した事ないし!』
「いや、俺達もないよ?ただ自分がしたい事が進むための芝居だし。」
『きっといつか皆さん刺されますね。』
何て人達だ!よく今まで恨みを買わなかったな!
そしたら用済みになったら殺すだけだから、なんて言葉を言われて本当に嫌になった。
「とにかく頑張ってね。誰かさん達が場所も考えずにケンカするから、俺のパソコン壊れてるんだよね。」
あ、なるほど。シャルくんはそれで機嫌がすこぶる悪いのですね。
その誰かさん達は今黙っている、フェイタンさんと私なんですよね?
『わ、私今から皆さんにカップルの行動を聞いてみます!!では皆さんまた後で!』
「お昼にここね。」
『はい!ではまた!』
「…。何でワタシか…。」
「いい加減素直になりなよ、フェイタン。もしかしたらヒソカにとられちゃうかもよ。」
「……。」
「…。(あれ?信じちゃったのかな?)」
「…。(今のは信じたな。)」
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