白兎と冷酷人間

□暗殺者さんの情報
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「よーし、んじゃ行くぜ…。」

『え、ちょっと待ってくださいよ。出会っていきなり何拳構えてるんですか!』

「問答無用ね。」

『あれ!?なんでフェイタンさんは後ろで刀構えてるのかな!?まず朝の挨拶は!?』

「よう。」

『おはようございますフィンクスさん。では私は…グッ!』

「ワタシさき挨拶してやたよ。どこ行く気ね。」


昨日の今日で清々しい朝を迎えたのに、なんでこの2人は朝から血の気が多いんだ。てかもう私今まさにフェイタンさんに髪の毛引っ張られてるけど、そろそろはげてもいいんじゃないのかな。


『とにかく話し合いをしましょう!!』

「話し合いって何だ?」

「知らないよ。」

『え…まさか脳みそまで戦闘しか「ささと殺されるね。」ニギャアアアアア!!』


とっさに避ければ、さっき居た場所は地面が抉れてるし刀で傷つけた跡がある。
あの2人はどうやら私を本気で殺すようだ。


『うぅ…!へ…へっへーん!!私が本気を出せば簡単に逃げれるんだから!!……て事で、さらば…!』


廊下の窓を突き破って、着地した途端に地面を思いっ切り蹴り飛ばす。途中でシャルくんらしき人とすれ違ったけど、そんなの気にしてられない。
ビルやら壁やらを蹴っては跳び、蹴っては跳び…なんとかまけたようだ。
(リアル鬼ごっこ過ぎて怖かった…。)


『…ひさ、しぶりに…本気出したぁ…。』


乱れた息を整えて周りの状況を見て後悔。近くで倒れている人が多数居るではないか。しかもちゃんと武装した人達。


『もしもー……し、死んでる…。』


ああああ!!何て事だ!これはどうするべきなんだ!?頭を抱えながら唸っていれば、僅かなあの嫌な感じに咄嗟にその場所から飛び退くと…針…?


『え?何なの?てかここの人達は日常で使うものを武器にしたがるの?』


ヒソカさんだってトランプだし、マチちゃんだって糸だし、シズクちゃんだってシャルくんだって、フェイタンさんは…どうなんだ?
そんな事を考えていると、結構な至近距離でいきなりの殺気を感じて身体をひねる。


『いたぁ…!』

「へー、あんたやるね。」


首を防いだおかげで左肩にジャンボ待ち針が刺さった。…毒とか塗ってないよね…?
そしてビル陰から出てきたのは、CMに出れそうな程サラサラな髪の無表情な男の人。


『何したらそんな綺麗な髪になるんですか…。』

「え?今それ聞く?」


左肩を押さえながら聞く私に、目の前の人物は可愛く首を傾げてくれるけど無表情だから怖い。
長年の勘が言ってる。この人はクロロさん達と同じくらい危険だ。
(でも何か違う気がするな。)


「困ったなー。誰にも見られないのが当たり前だからなー。…よし、殺そう。」

『っ!そんな可愛く言われてもノコノコ死にませんよっ!』


嫌な汗と共に相手の殺気も増した気がして、手に持っている傘を握り締める。
そしてハンパない速さでまた針を投げてくる。しかもご丁寧に急所ばかり狙って。


「へー、あんた強いね。てか、ここに何しに来たの?」

『ある2人から逃げてたら何時の間にかここに居たんです!だから見逃してください!』

「んー、無理だね。」

『で、ですよねー…。』


うん、なんて無表情で頷いてくるもんだから涙が出そうになる。するといきなり身体に力が入らなくなって地面に膝をつく。


『え…?何時の間に…?』

「あんた、さっきそいつの事触った?」

『脈を確かめる為にと…刺さってる針を見る為に…。』

「馬鹿だねー。あれは毒の塗ってあるやつだよ。」


何て事だ。まさかの自爆だと…?あれだけ前の世界でも、何故かこっちの世界でも、落ちてるものは触るなって言われてるのに。
私って本当に馬鹿なのかもしれない。


「…あれ?まだ動けたの?」

『…あ。』


視線を辿れば、右手で針を防いでいる自分。いやいや自分よ、手のひらにブスッと刺さって防ぐって…。私は本当に馬鹿なんだな。


『…私…馬鹿決定だな…。』

「よくわかんないけど、残念だったね。」


心にも思ってないだろ。


「じゃあバイバイ。」


寂しい終わり方だな、と思えばいきなり背中の衝撃に地面にキスするはめになった。


「お前、何してるね…。」

『あ、れ…?フェイタンさんに…シャルくん…?』


フェイタンさんなんてかなり不機嫌な表情なんですけど。で、私の背中踏んづけたままとかかなり痛いんですよね。
(針が更に深く刺さるでしょ!)


「追ってきて正確だったね。…で、そっちはゾルティック家の奴ね。」

「何やられてるか。」

「そいつが自分で、そこに刺さってる針触ってなったんだけど。」


サラサラの髪の毛の人が指を差す方を2人はチラリと見て…私を見てくる。1人は睨んでるけど。


「あれほど落ちてるものは触るなって俺も含めてうるさく言ったはずなんだけど。」

「お前、救いようのない馬鹿ね。」

『すみません…。』

「ねえ、それあんた達のペット?」


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