ちゃいるど!!

□過ちと私
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『え…?今日…?』

「あぁ、今日だ。」


私とクロロを心配そうに見るパクさんがチラリと横目に映る。
クロロに呼び出されて部屋に行けば、今日美術館へ行く、と言われた。


『何か盗みに行くの?』

「まぁそうだな。」

『そっか…。』


私も行きたい。だけどそれはリスクと覚悟が必要で、私にはどちらも受け止められる力も強さもない。だから何も言えないんだ。


「…ついて行くとは言わないんだな。」

『私はそれほどの力も覚悟もないから…。たぶん一緒に行っても、邪魔になる。』

「賢明な判断だな。」


本当は行きたいし、みんなの力になりたい。だけど私はきっと、人を殺す手前でその思いが揺らぐだろう。だから行っては駄目なんだ。
ギュッとワンピースの裾を掴む私にクロロは頭を撫でる。


「焦らなくていい。お前の好きなように動け。」

『でも…』

「それにユナを連れて行くような事をしたら他の奴がうるさいからな。」

『ごめんなさい…。』


何に対しての謝罪かわからないが、とても自分が情けなく思えた。
私はただ力を付けただけで何も変わってない。本当の弱さなんて何も成長すらしていないんだ。


「ならユナ、お前に任務を与える。」

『?なに?』

「俺達の帰りを待っててくれ。それまでここを頼む。」


クロロを見れば、優しい眼差しで髪を撫でてくれた。
この人は本当に私に何度も優しさを与えてくれる。その優しさに私は何度助けられたか。


『うん、わかった!留守番は任せておいて!!』

「あぁ、頼んだぞ。」














「何かあったらすぐに俺の携帯にかけてね?」

「誰か侵入してきても無理に立ち向かわないんだよ?」

『大丈夫ですよ、シャルさんマチさん。』

「捕まえたらワタシに渡すね。ワタシがたぷりユナに拷問の面白さ教えるよ。」

「フェイ、それはユナにはちと酷だぞ。」

『たぶん…大丈夫です、フィンクスさん。』


こうやってみんな心配してくれるのを見て、過保護だな、と思う反面、嬉しさもある。
するとパクさんがしゃがんで目線を合わせてくれた。


「何かあったらすぐに逃げなさい。刃向かったりしちゃ駄目よ。」

『はい、わかりました。皆さんも気を付けてください。』

「あぁ。じゃあいってくる。」


私が頷くと次々に外に出ていくみんな。最後にクロロが出て行こうとする時名前を呼ばれた。


「ユナ、無理はするな。」

『クロロもね。』


あの人達も含めて、そんなヘマはするとは思えないが一応言ってみた。
クロロと目が合えばフッと笑われ、頭を撫でられる。


「いい子にしてたら土産でも買ってきてやる。」

『楽しみにしてるね。』


クロロは、あぁ、と返事をして外に出て行った。










クロロに許可をもらったので、私はクロロの書斎室で本を読む事数時間。
さすがにお腹がすいた。キッチンに行けば何かしらあるだろう。


『そういえばパクさんが何か作ってくれてるって言ってたな…。』


みんな私が留守番だって言うのに、本とか色々貸してくれたし。本当に優しい。

そんな事を思いながら、パクさんの作ってくれたグラタンを温めて広間で食べる事にした。
誰も居ない広間はとても広くて、一番最初に居た時の事を思い出す。
あれから1年近く経とうとしてる。今の私は1年前より少し身長がたかくなって、髪も伸びた。この身長から考えると約11歳くらい。


『私、元の年に戻れたりしないのかな…。』


戻れたらクロロ達はどんな反応をするのだろう。もしかして、1人で生きていけるような年だからって追い出されるのだろうか。
戻りたい、けど戻りたくない。私はここを離れられる勇気がない。

ボーっとそんな事を考えると、こちらに近付いてくる2つの気配に気付く。気配を隠しているみたいだが、蜘蛛のみんなと比べると隠れていないに等しい。


『どうしようかな…。』


明らかここに用事がある人達だ。だが当の本人達はお留守で私がここに居るだけ。
面倒事は避けろと言われているので、瓦礫の陰に隠れて絶をしながら様子を見る事にした。
数分経って、乱暴に開けられる扉に眉をしかめる。


「くそっ!やっぱり居ねえじゃねえか!!」

「でも生活していた感じはあるぜ?」

「なら逃げたか?隠れたか?」


そんなやりとりを聞きながら様子を見ていれば、1人の男が木箱の前に立つ。
あれはこの間ノブナガさんが持って帰ってきた…


「ちくしょうがっ!」

『…っ!』


勢いよく蹴られた木箱は壁に当たって、中に入ってるものをぶちまけて大破した。私はその場に飛び出しそうになった身体を我慢するように拳を握る。
あれは、ノブナガさんが私の為にとジャポンから持って帰ってきてくれたもの。
私だってお楽しみって言われてまだ中見てないのに…!


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