白兎と冷酷人間

□危険人物との出会い
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『?ありがとうございます。』

「あんな事されたのに、お礼なんて言っちゃうんだね◇」

『あんな事…?…あぁ、あれくらい慣れっこですので気にしてないですよ。』


フェイタンさんを筆頭に、みんなかなりのドメスティックさにいい加減諦めという名の慣れになってしまった。全く、私はどこで間違えたらこんな人生になるんだ。


『気にするんでしたら仲直りしましょ?』

「握手?

『握手して仲直りです。それともどうでもいいですか?』


首を傾げれば、ニコリと笑って握手してくれるヒソカさん。
おぉ…、意外過ぎて私が驚いてしまった。


『さて、私はこれから帰らなきゃいけないのですが、ヒソカさんは?』

「僕も行く所があるんだ途中まで一緒に行かない?◇」

『はい!もちろん!』


それからヒソカさんと他愛ない会話をして数分後。やっと目的地に着いたというか、ちゃんと帰ってきたというか…


『て、あれ?ヒソカさんはどこに向かってるんですか?』

「僕はあそこだよ


指で差された方は私と同じ目的地。…もしかして…


『ヒソカさん、幻影旅団ですか…?』

「そうだ、って言ったら?◆」

『わ!嬉しいです!私今あそこでお世話になっていて!!』


するとヒソカさんはちょっと驚いた表情をして、次に何か面白い事でもあったのか笑みを浮かべる。
(この人色々な笑みがあって面白いなぁ…。)


「ルカって団長のお気に入り?

『…お気に入りだったらこんな日常送ってませんね…。』


なーにが嬉しくてこんな理不尽な日常を…!
どこか哀愁漂っていた私にヒソカさんはいきなり私を横抱きに……ぅえ?


『ちょおおおおおお!な、ななな何してるんですか!』

「僕とルカの仲なんだから気にしない気にしない

『そうですね!……なんて言ってられっかぁああああ!!ちょ!本当に恥ずかしい…!』


これでアジトに帰ったら………ヤダヤダヤダ!笑いの的と笑いの種にされる…!
(そしてフェイタンさんにバカにされる!)


『うわわわわ…。ひ、ヒソカさん!抱きしめてメリットどころか、デメリットしかないですよ…!』

「それはどうかな?君が誰のお気に入りかすぐにわかるよ◆」

『お気に入りはこんなぞんざいな扱い受けませんよ。』


真顔で言う私にヒソカさんはただ楽しそうに笑うだけ。逃げようとしても、この人力強いんだよ…!
ドアに手を伸ばすヒソカさんを横目に逃げられない事を悟り、ヒソカさんの肩に顔を押し当てて気絶したふりをする。


ガチャリ

「やあ


やあ、って何だよこの人ぉおおおお!!うわっ、ビシビシ視線が背中に当たって痛いんですけど!


「ヒソカ…、何であんたがルカと一緒に居るんだい。…しかもルカを抱きしめながら。」

「僕とルカは仲良しなのさ


ギュッと抱きしめる力を強くしたヒソカさんだが、実質そんなギュッなんて可愛いもんじゃない。私の背中がミシミシとヤバい音をたててる。


「ルカと知り合いだったのか。」

「あ、団長うん、さっき知り合ったんだよ


あなたに殺されかけましたがね。
腕に力を込めて離れようとすれば更に力を強められた。
ふおおお…!この馬鹿力!!


「さっきからヒソカ、ルカにかなりの力加えてない?」

「好きすぎて離したくないんだよ


どういう事だぁああ!離したくないじゃなくて、骨が折れる寸前なんですけど!


『いい加減痛いモガッ!』

「今、ルカ喋ったよね?気絶してるんじゃなかったのかい?」

「気のせい気のせい


息が…出来ない…!本当に死んじゃう!
段々と呼吸出来なくて意識が遠のきそうになった時、何故か私に向けられる殺気に気付く。


「そいつ離すね。」

「おや何でだい?


フェイタンさんだー!!今は恐怖の象徴ではなく、女神さまにしか思えないよ!
いや、フェイタンさんが女神さまみたいに微笑んでたら色んな意味で怖いか…。


「そいつ、ワタシの苛つかせたね。だから早く渡すよ。」


不可解な事が混じっていた気がするが今は救いの手でしかない。なんで周りは楽しそうに傍観してるんだよ。


『ブハッ!し、死ぬかと…。』

「ルカはすごい力持ちなんだね

『もー、はーなーしーてー、くださぁああい!』


ググッと力を入れるが更にヒソカさんは力を入れてくるもんで、なかなか現状打破にならない。おまけにヒソカさんはクスクス笑っている余裕さだ。
(さすが規格外集団の仲間だ…!)


「ささとそのノロマ寄越すね。」

「あぁルカは君のお気に入りかい?

「ハッ!それ、ただのグズね。ワタシのお気に入りなんか程遠いよ。」

『なんか色々悲しいですけど、フェイタンさん助けてください!!』

「誰がお前なんか助けるね。」

『えぇぇぇ…。そ、そんなぁ…。』


ショボンとする私にヒソカさんは可笑しそうに笑う。あなたが原因なのがわからないのか。


「本当に君は美味しそうだね

『は』

「あ」


誰かが声をあげたけど今はそれよりこの人何をした。
く、首を舐めた…?


『ヒギャァアアアアア!!』

「色気も全くない声だね

「ヒソカ、いい加減に離すよ。」

「はいはい。」

ガンッ

『!?!?』

「あ


私はいきなり落とされるとは思ってもいなかったわけで、頭を見事に地面に打ちつけて気絶した。
今日は散々過ぎる…。


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