白兎と冷酷人間
□腕相撲と未知
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「じゃあ次はフェイタンだねー。」
『シャルくん…!あなたは鬼ですか…!?』
ギブと言ったのに全く聞く耳持たずで、大丈夫だよー、なんて言ってくれちゃったり。
フェイタンさんはさっさとやるぞ、と言わんばかりに睨んでくる。
(なんか腕相撲じゃなくて殺されそうな勢いだ。)
『そういえば、この腕相撲やっている順番って何ですか?』
「ん?弱い順だよ。ちなみに一番強いのはウヴォーだよ。フェイタンは5番目。」
『えぇ!?シャルくんより背が小さいのにそんなに強いんですか!?』
「ルカそれは…」
ハッと気付いたが時すでに遅し。ソッとフェイタンさんを見れば、ニンマリと恐ろしい笑顔を浮かべていらっしゃった。
(これは…死亡フラグだ。)
『あわ、あわわわわ…。』
「クズ、早く腕出すね。その腕、一生使い物に出来なくしてやるよ。」
『う…ぁ…。ご、ごめんさぁああああい!!』
「あっ、逃げた。」
「逃がさないよ…!」
外へとダッシュすれば、何ともちょうどよく扉が開いて、ウボォーさん達が入ってきた。
『どいて「そいつ捕まえるね!!」うぁああ…。』
ガシリとウボォーさんに掴まれて、私は身体を震わせる。
あと数歩で外なんだ!
するとフィンクスさんも掴んできた。
『な、ななな何で…!』
「あー…フェイタン怒らせるとかなりヤバいからだ。」
『私、殺されちゃいます…!』
「…。頑張れ。」
チラリとウボォーさんを見れば、苦笑いされて離す気はないらしい。
後ろからゆっくり迫ってくるフェイタンさんはまるで死へのカウントダウンだ。
『い!!嫌だぁあ!!まだ…死にたく、ない!』
「うお!?」
「こいつ…!」
『ぬ…あああああああ!!だあ!!』
地面がミシミシというほど力を込めて、思いっきり手を振れば、両腕が自由になった。この一瞬で腕はかなり酷使したみたいで明日は筋肉痛コースだ。
「なっ!?」
「うお!?」
「!!」
『やったぁあああ!!自由だぁあああ!!』
あまりの嬉しさに飛び跳ねてたが、時間がないので外へ向かってダッシュした。ふふ…なんか身体が軽く感じて何処でも行けそうな気分だ。
「うそぉ…。ウボォーとフィンクスが負けた…。」
「あいつの力は計り知れないな。」
「ルカ、きっと無意識にセーブしてるよ。」
「それ、マチの勘?」
「うん、あときっとルカが念を使えたら強化系だよ。」
「あ、そういえばルカこの間、あまり太陽に当たっちゃいけないって言ってたけど、大丈夫かな。」
「え?シズク、それ『ギャアアアアア!!太陽がぁああああ!!』…ルカって馬鹿だね。」
「フェイタン、ルカを拾ってこい。団長命令だ。」
固まっていたフェイタンはピクリと動いて、溜め息をした後外に出て行った。
『ふぇ…フェイタンさぁぁん…。うぅ…ごめんなさい…。』
「お前、正真正銘の馬鹿ね。」
『はいぃぃ…。すみません…。』
数分後、グッタリしたルカを担いできたフェイタンが戻ってきて、ウボォーが腕相撲をルカとかなりやりたがったが結局出来ずじまいになった。
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