白兎と冷酷人間
□初めてのお仕事
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「じゃあ確認ね。団長とフェイタンが水晶、手に入れてね。俺はセキュリティーの解除。フランクリンとフィンクスとルカは敵を引きつけてね。」
『あれ…?フランクリンさんは?』
「あいつは正門の近くで待機してるぜ。俺とお前はこっから侵入して敵を動揺させる作戦だ。」
『なるほど。……あの…シャルくん。』
「ん?作戦は変えないからね。」
『敵、多くないですか?というより、皆さん何か物騒なもの持ってませんか?』
木の上に居る私たちの下には、沢山居る敵と何か物騒なものを持っている気がする。
引きつる私にシャルくんは笑顔でサラリと言う。
(あ、この笑顔は嫌な予感しかしない…。)
「たぶん俺達が来る事バレちゃったんだろーね。」
『なんで!?』
「そういう念使いが居たんじゃない?」
念って最強なんじゃないかな。私、こんな世界で生きていけない気がしてきた。
『わ、わわわ私無理です…!あれ銃ですよね!?当たったら痛いじゃないですか!!』
「痛いって話で済んじゃうんだね…。あれ、新型でかなり機能がいいみたいだよ。」
『ヒィィイイ!!無理無理無理無理!無茶ですからぁあああ!!』
「お前、さきからうるさいよ。」
『あ』
「あ」
フェイタンさんに蹴られて、私は足場の悪い木の上に居るわけで…
私、今空中に居る…?無視していたクロロさんまでこっちを向いてる…
『うああああああ!!』
まぁ人というのは空を飛べるわけなく、私の身体は重力に逆らわず落ちていく。そして何にも引っかからず地面に激突。
(所々すり傷が地味に痛い…。)
『ふぐぅ…。い、痛い…。』
番傘だけ途中の木な引っ掛かるとか、どんだけだ…。身体を起き上がらせればカチリと頭に何か当てられ、ピタリと身体が固まる。
「お前ぇ、幻影旅団か!?」
「どっから入ってきた!?」
『あわ、あわわわわ…。』
な、何て事だ…。周りには厳つい人が銃を持って睨んでいるではないか。
そして頭に突きつけられているのは銃口。
(これは怪我ではなく死亡フラグな気がする。)
「答えろぉ!!」
『うわぁああ!!す、すみません!私、そんな気がなくて、木から落ちちゃって…!』
「こんな夜中に何で木に居るんだよ!」
『そ、それは…!……夜のお散歩です!』
「嘘つけぇ!」
『ヒィイ!!』
青筋たてて言う方々に私は涙目だ。すべてはフェイタンさんのせいだ…!
チラッと木の方を見るけど、動く気配は全くない。つまり助けなんて全くない。ひ、酷過ぎる…。
「クソッ!死ねぇ…!」
『それは嫌ですぅううう!』
銃を撃とうとした人の銃口を掴んでひん曲げる。そしてその場から少し離れた所に着地してさっきの場所を見れば、銃が暴発して騒いでいる。
(銃を遠くに投げれば問題ないのに…。)
「やっちまぇええ!!」
『だから私は無実ですってばぁあああ!!』
打ってくる銃から必死に逃げながら、近くにあった小屋の屋根に飛び乗る。
あ、危ない…。てか容赦ない…。
「お前、逃げてばっかりじゃねぇか。」
『フィンクスさん!?てか何でみんな動かないんですか!?何でフィンクスさんも来ないんですか!?』
「団長命令だ。」
あの団長…!
まあそんな暴君、この集団では今始まった事じゃない。するとフィンクスさんは、ほらよ、と投げられたのは私の番傘。
「んじゃあ頑張れよ。」
『ちょ、ギャアアアア!?』
ヒョイと掴まれたと思ったらさっきの場所へ投げられる。今度はちゃんと着地したが、周りはまた銃をぶっ放してくる。
『ぅう…!し、仕方ないんですからね…!こ、これは正当防衛ですからね…!』
銃弾を避けながら、一気に間合いを詰めて手刀で気絶をさせていく。避けきれない銃弾は番傘で防いでいく。
「ちょ、ちょこまか逃げるんじゃねぇよ!」
『へ…?な、なにこれぇえええ!?』
地面から手が…!手が生えて私の足を掴んでる…!しかもヒンヤリと冷たいからまたそれが恐怖だ。
ヤダヤダヤダ!こういう系ダメなんだって!
でも掴まれてる手からは、前に感じたシャルくんと同じ嫌な感じがする。
(これが念なのかな?)
「死ねぇ!!」
『!!!』
バッと見れば、厳つい人が投げてきたものが目に入る。あれは…爆弾。
そう気付いた時には目の前に迫っていた。
そして
ドォオン!!
その場に爆発音が響いた。
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