ちゃいるど!!
□仲間と私
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「お、目が覚めたんだなぁ!!!」
『…え…あ、はい…。』
「俺はノブナガ。こいつはウボォーギンだ。」
『あ、……はじめまして。私はユナです。』
「今回ユナの手柄なんだってな。」
「すげぇじゃねぇかユナ!」
『は、はぁ…。』
「あんたらユナが困ってんじゃん。」
マチさんが呆れたような声で私の頭を撫でてくる。……みんな頭撫でるの好きだね。
すると目の前の大きな男の人は豪快に笑い始める。笑い声すら身体に振動するほどの大きさだ。
「すまねぇな。俺らは幻影旅団だ。」
『ぁ、はい。』
「ユナは団長のお気に入りなんだろ?すげぇじゃねえか!」
『あ、ありがとうございます…?』
「俺はウボォーって呼んでくれよな!」
はい、と頷けば、ちょうどクロロが自室から出てきた。
「騒がしいと思ったらやはりウボォー達か。」
「お、団長!今回の狙ってたやつ、手に入ったんだってな。なら宴会やろうぜ!」
酒を沢山盗ってきてよ!、と上機嫌に言うウボォーさんの言葉をもういちいち気にしてはいられない。彼らは盗賊なんだ。
「そうだな。なら行ってこい。」
「まかせとけぇ、団長!大量の酒と食料盗ってくるぜ!」
「そういや、フィンクスが近くに居るって言ってたなぁ…。あいつも誘うか。」
「んなら今から行ってくるぜ!じゃあ後でなユナ!」
『え?あ、気を付けてください。』
ぺこりと頭を下げれば、機嫌よく出て行く2人に私はまだ頭が追いつかない。まるで嵐のような人達だ。
「あの2人ならいつもあんな感じだから。」
『元気ですね…。』
「それだけが取り得なんでしょ。」
マチさんの言葉に苦笑いをしながら2人が出て行った扉を見つめる。
そういえば、ここはクロロと初めてあった場所なんだな、と思い出す。
「ユナ、そういえばお前はどうしたんだ。」
『あ、この間借りた本返しに来たんだよ。なかなか面白くて良かったよ。』
「そうか。なら新しい本でも読むか。」
『ありがとう。じゃあマチさんまた。さっきはありがとうございました。』
「気にしなくていいよ。」
優しく笑うマチさんに私も笑い返して、クロロの後を追う。もう何回は入った事はあるが、書斎室には沢山の本で全部クロロのだ。
私は新しい本を貸してもらって部屋から出ようとすれば、クロロに呼び止められる。
「もし俺がお前を所有物から外す、と言ったらどうする?」
『え…。』
本を落としそうになったが何とか落とさずに住んだ。クロロの方を見れば何か試すような目で見てくる。
『外されたら…私は……この場に居る資格が、ありません…。』
「ならどうする?」
『この場…から、消えます…。』
あぁ、ついにこの時が来てしまったのか。いつかは来るとわかっていたが、身体は正直で声が震える。
「なら所有物ではなくて、仲間として加えると言ったらどうする。」
『え…?なか、ま…?』
「そうだ、俺達蜘蛛の仲間だ。」
すごく急展開な出来事で頭が追いつかない。
私が仲間…?幻影旅団の?蜘蛛の?
「無理に今答えを出せとは言わない。だが今日中に答えを出せ。お前が仲間になる事を選ばなかったとしても殺しはしないし、金だって沢山やる。だから自分が最善だと思う方を考えろ。」
『はい…。』
頭が追いついていない私は、それが精一杯の返事だった。
そして部屋から出て、歩いていればフィンクスさんと遭遇した。
「お、ユナもう起きていいのか?」
『あ…はい、大丈夫です。』
「シャルとかパクとかすごく気にしてたぜ?」
珍しくフェイタンもな、とおかしそうに言うフィンクスさんに私も笑えば、眉をひそめられる。
「元気ねぇな。どうしたんだよ。」
『どうして皆さんは私を気にしてくれるんでしょうか…。』
「あ?んなの、気に入ってるから気にするんじゃねぇか?」
『こんな人を殺せない足手まといな私をですか?』
なぜみんなは気にかけてくれるんだ。私はただクロロにお世話になってて、少し念能力が少し使えるだけなのに。
私はあなた達みたいに人の命を奪う覚悟もないのに。
「あー…、お前が望むような答えは出せねぇけどよ、気に入ったから気に入ったんじゃねぇか?食べ物好き嫌いだってそうだろ?」
『大方間違いではないですね…。』
「よくわかんねぇけど、そんなもんなんだよ。俺だってお前の事気に入ってんだからよ。」
そう言いながら恥ずかしそうに目をそらすフィンクスさんに少し笑えば顔を赤くしながら怒られた。
『ありがとうございます。少し余裕が出来ました。もうちょっと考えてみます。』
「そうか。あんま無理すんなよ?」
『はい。』
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