ちゃいるど!!

□仲間と私
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コンコンというノックの音でハッと意識を浮上させれば、もう日が暮れているので部屋が暗い事に驚く。返事をすればパクノダさんだった。


「起こしちゃったかしら?」

『寝てなかったので大丈夫ですよ。』

「でも何で電気を付けなかったの?」

『ちょっと考え事をしてまして…。』


でももう解決しました、と笑えば、パクノダさんは優しく微笑んだ。


「今から宴会やるんだけどユナもどう?団長も来いって言ってるわ。」

『あ、じゃあ今から行きます。』


パクノダさんに着いて行けば、フィンクスさんにフェイタンさん、マチさんに、シャルさん、さっきの2人にクロロが居た。
もう始まっていたようでウボォーさん達がかなり騒いでいる。


「ユナ、来たか。」

「お、ユナ一緒に飲もうぜ!!」

「ユナはまだ子供だっつーの。」


そうだったな、と豪快に笑うウボォーさんに、上機嫌笑うノブナカさん達。
対照的にフェイタンさんとマチさんは静かに飲んでいる。


「ユナ、答えを聞かせろ。」


やけに響いたクロロの声と共に、周りも静かになる。自分の心臓の音が聞こえそうなほど、心臓がうるさく鳴っているがクロロから目は逸らさない。


『私は、人を殺せない。覚悟がないと思うならそれでいいです。』

「で、どうする?」

『でも今日ずっと考えて、もしあなたが私の目の前で危機に面した時、私はたぶん助けたいと思う。もしそれが誰かを殺す事になっても助けたいと思うでしょう。』

「お前に俺を助けられるのか?それと俺達蜘蛛は仲のいい助け合い精神のある者じゃない。例え誰かが死ねば新しい奴を探す。俺達が大切なのは蜘蛛という存在だ。」


確かそれは前にシャルさんが言っていた。ナンバー4を持っていた人は、殺されて新しい人と今は入れ替わったって。


『確かに助けるほどの力も今はない。それに蜘蛛の存続が重要なのも前に聞きました。』

「ならどうする。」

『私はあなた達が好きになっちゃったんですよ。好きなものを人に奪われるのは私大嫌いなんです。それに私案外欲張りで好きなものとは出来るだけ近くに居たいんです。』

「……。」

『だから仲間にしてください。私の好きな人達と近くに居たいですし、奪われたくないので仲間にしてください。ちゃんと強くなるように訓練はしますのでお願いします。クロロだって自分の好きなプリン、奪われたくないでしょ?それと同じです。』


そう言えば、周りはまた静寂に包まれる。だが、クロロと私以外一気に笑い始めた。


「欲張りなガキだな!団長!でも俺は好きだぜ!!」

「俺ら、プリンと同レベルだってさ!」

「ギャハハハハ!!ユナ、それは酷いぜ!」

「フィンクス、ちょっと笑いすぎ…。でも…ユナすごい欲張り…。」

「盗賊の鏡だな、こりゃあ。」

「単純過ぎて…ワタシらが驚いたね。」


どういう、事だ…。
フィンクスさんとシャルさんなんて床を叩いて笑ってるし、ウボォーさんとノブナカさんはお酒を片手に大爆笑。フェイタンさんとマチさんは我慢するように肩を震わせている。
するとクスクスと笑っているパクノダさんがクロロに話しかけた。


「団長、この子私達が思っているより欲張りだったわね。」


するとクロロの唇が弧を描く。


「やはりお前は俺には想像しえない答えを出すんだな。」

『私、変な事言った…?』

「かなり興味深い答えだった。」


私は昼間聞いたフィンクスさんの答えのように自分のそのままの答えを言ったのだが。当のフィンクスさんはシャルさんと一緒にお腹を抱えて笑っているのだから、更にわからない。


「ユナ。」

『はい。』

「改めて仲間として歓迎しよう。」

『え…?』

「よし!ならユナの仲間祝いをかねて、かんぱーい!!」


シャルさんの言葉と共にみんな乾杯と言い出す。
本人である私が状況を理解出来ていないまま宴会はまた始まった。


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