ちゃいるど!!
□好青年と私
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でもやるせない気持ちはどうすればいい。叫びながら全力ダッシュすればいいのか。今の体力じゃ無理に近いか…。
俯いて、唇を噛んでいればそっと涙を拭われバッと顔を上げる。
好青年のスーツの裾で拭いて、私は驚いて後退する。
『き、汚くなります…。』
「君は本当に面白いね。」
『面白い…。』
人の窮地を面白いとは、また何というか…
すると好青年は少し考えている素振りをすると、また話しかけてくる。
「ならば君の所有者は?」
『しょ、しょゆう…』
それは親というべき存在の事だろうか。そんな言い方に私はヒクリと口が引きつる。
『所有者…はいないと思います…。』
「捨てられたから?」
『………………はい。』
何なんだこの惨めな気持ち。見たくない現実を目の前に叩きつけられた気分だ。
この好青年にこの本の角を脛にぶつけてやりたいくらいだ。……臆病な私には到底出来ないが。
というか私はそろそろ限界なようだ。感覚もなくなってきている。そして、何より眠い。私は死ぬのか、この好青年の前で。テリトリー汚してごめんなさい。出来れば土に埋めてほしいです。
力が抜け、視界がブラックアウトする前に好青年が何か言っていた気がするが、きっと一生私には関係ないだろう。
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