白兎と冷酷人間
□個性的家族
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「まあまあまあまあ!!あなたが試しの門を6まで開けた方?想像していた方より全然可愛らしいわ!!あら、そういえばお名前は?」
『え、あ、あの「ルカだよ。」……。』
「ルカさんというのね!!私はイルミの母のキキョウです。それよりルカさん、あなた本当に試しの門を開けたのよね?念はどこまで使えるのかしら?誰に習ったのかしら?」
『ぇ、ぁ、その…。』
なんてマシンガントークなんだ…。こんなに会話で気圧される事なんてなかったよ。てかそもそも会話すら成り立ってないよ?だって、私が答える前にイルミさん答えちゃうし、キキョウさんは話進めちゃうし…。
蜘蛛のみんなもなかなか話を聞かない人だったけど、今ならあっちの方がまだ会話になっていたような……いやいや、そもそも根本的にみんな会話出来てないよね?
「ルカは今回俺のお得意様のお使い。だからあんまり情報とかも言えないんだよね。」
「あら、そうなの?残念ねぇ…。せっかくいい人材だと思ったのに…。」
キュイーンとか目に着けてるものの音からして、まるで目からビームでも出すんじゃないかこの人。てか煌びやかなドレスにキュイーンって…。
「なんだ客人か。」
「偉く騒がしいと思ったが、そういう事か。」
なんか厳つい人来たー!そして、何時の間にか私の隣に居たおじいちゃんは何者だ…!!
まあ屋敷に居る=ゾルディック家なんでしょーね。
てか本当にイルミさんの家って大家族だなぁ…。なんかいいなぁ…。
『イルミさんの家って何だか楽しいですね!』
「初めてそんな事言われたよ。」
そうかな?絶対に一回会って、忘れない方々ばっかりだよ。こんな印象深い家族の日常は、さぞ色濃いんだろうな。
出された紅茶を呑気に飲みながら、ソファに座っていればバンッと開かれる扉に視線を移す。そこには、メタボリック絶賛中みたいな人が息を切らしながら険しい表情でこちらを見ていた。だけどパチリと目が合ったので会釈をしておく。
「イル兄、誰こいつ。」
「ルカ。俺のお得意様のお使いだよ。ルカ、こいつは弟のミルキ。」
「へぇ…こんな奴が?」
『初めまして、ルカです。』
ジロジロと見てくる目はもう慣れっこだ。だけどイルミさんと全然似てないなぁ…。てかイルミさんは誰に似てるんだ。
そもそも厳つい人とこのおじいちゃんは誰なんだ。
居心地が悪いのを感じとったのか、おじいちゃんが話しかけてくれた。
「ワシはゼノじゃ。で、そいつがシルバ。ワシの息子でイルミの親あたる。」
『あ、はい、初めまして。』
ふむふむ…、イルミさんの親か…。なんか本当に何ていうか…キャラが濃いな…。
「そういえば、ミルキはどうしたの?」
「!、そうだ!キルの奴、また俺のフィギュア壊したんだぜ!?キル今どこに居るだよ!!」
「確か独房じゃないかな?」
『ブッ!?』
「ルカ汚い。」
『あ、すみません…。…じゃなくて独房!?』
え!?日常会話に独房なんてサラリと出てきちゃっていいの!?そういえば、ゼノさんの服、1日1殺って書いてあるし…!!
独房なんてナチュラルに使う人達なんて……あ、私の周り普通に居るじゃん。いやだがしかし!
『つかぬことをお聞きしますが…キルという方はどういう関係が…。』
「え?キルは俺の弟だよ。」
『お…弟…。』
恐ろしい家族だ。弟が独房に居るのにそれが日常なのか。ゾルディック家がただの恐怖の対象に段々なってきたぞ…。
「そういえば、ルカさんはまだ念が使えないみたいね。」
『あ、はい、そうなんです。ちょっと色々事情がありまして…。』
「ならちょうどいいわ。」
『…はい…?』
「カルトちゃんと少し手合わせしてみません?」
『…………………え!?てかカルトちゃんって誰!?』
「末っ子だよ。」
『まだゾルディック家居たのか…!!』
どれだけの大家族だよ!!てかカルトちゃんって可愛い子なのかな…。…じゃなくて!
『て、手合わせなんて「いいんじゃない?」ちょうどよく言わないでください!』
「少しくらいいいじゃん。俺、まだルカがまともに戦ってるとこ見た事ないし。」
『い、いつか見れますよ…。』
「手合わせしてくれなきゃ、お使いの物、渡さないから。」
『イルミさんの卑怯者!』
「そう?」
ああああ!私は早くも帰りたいのにぃぃい…!!ゾルディック家が私の計画を容赦なく突き崩してく…!!
でも早く終わらせれば早く帰れるんだ。ここで駄々をこねるよりはいいんじゃないかな…?
『わ、わかりました…。一回だけですからね…。』
「よかったね母さん、ルカやってくれるって。」
「まあ本当に?ありがと。カルトちゃーん、カルトちゃんいらっしゃーい!」
「はい、お母様。」
音もなく現れたのは和服美人の女の子でした。
どうしよ、戦える気がしない…。
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