Fairy
□第2章 姫君
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ステラを先頭に後ろに続く三人と一匹。その途中、誰も喋る事はなく黙々と歩を進めた。
「此処です。」
と 立派な扉の前でステラは止まった。所々ダイヤモンドやエメラルドがちりばめてある 豪勢な扉。はー…と関心したように溜息をつく ルイカ。ユウにいたっては早く帰りたそうだ。
「話は中でしましょう」
そういうとステラは扉を開け、部屋へ入るよう促す。最後のユウが入ったところで扉は閉められた。
この部屋は姫の部屋にしては 小さく、シンプル。
とても女の子らしいとは思えない。
「……」
あまりにも予想外の――外見とは全く一致しない部屋の装飾に一瞬沈黙が部屋を支配した。
「座ってください。すぐに城のものが飲み物を持ってきてくれますから。」
そんなことは気にしないとでも言うように沈黙を破ったのは、部屋の主のステラだった。
テーブル――これもシンプルな装飾――を指して、ルイカたちに座るように促した。
遠慮なくテーブルの横にある椅子に腰掛けるのは、勿論ユウ。ルイカとコウは遠慮がちながらも 普通に腰掛けた。
「……で、では…ステラ様、お話とは?」
ルイカが尋ねると同時に部屋にノックが三回。そしてメイドがお盆の上に 紅茶と焼き菓子を乗せて持って来た。
「失礼します。お茶をお持ちしました。」
それぞれの目の前に紅茶を並べ、最後に焼き菓子の入った大きな皿を真ん中に置いた。
「では、失礼致しました。」
そう言うと メイドは部屋を出た。
「(紅茶より、麦茶の方がよかったなぁ。)」
そんな事を心の中で呟き、紅茶に手をつけるユウ。
「……美味い。」
あっという間に紅茶を飲み干し、椅子にもたれ掛かった。
「……率直に聞きます。貴方方はどうして、あの乗り物に乗っていらしたのですか?」
紅茶を一口飲んでから、本題に入るステラ。
呆けていそうに見えてなかなか鋭いことを聞いてくる。ただ、あの場に乗っていた、というわけでないことを分かっている様だった。
「……話していいものなのか?」
「そうじゃのぅ…話しても良いじゃろぅ。」
悩んだ末、コウはドラゴンに尋ねた。
ドラゴンは、ステラが現れて初めて口を開いた。
「…!やっぱり、気のせいではなかったのですね。」
ステラは驚いたように口元に手を添えた。
紅茶を 一口飲み、ルイカが口を開いた。
「アレは……その……冒険!みたいな気分を味わってみたいと思いまして。」
「俺は ほぼ強制的に行かされた。」
バシッ!
ユウには学習能力というものがないらしい。
再度、叩かれた。
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