紅の書庫

□偶然にも訪れたもの
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そういえば、天気予報で今日は雨が振るって言っていたっけ。
今更ながらそれを思い出し、強く振る雨を見て途方にくれる。
一日の授業が終わり、レッド寮に帰ろうとして歩き始めた矢先のこと。
まるで親の敵のような豪雨が突然振り出したのだ。
走って帰るにも、ここからではレッド寮は遠すぎる。
無理して帰ろうという気も失せるほどの強い雨だったので、
十代は少しでも雨足が弱まってくれるのを願って大きな木の下に雨宿りをすることにした。
夏の陽に照らされ青々と伸びきった葉は雨を防ぎ、十代の身を守ってくれている。
だが、ここに雨宿りをするまでに濡れた衣服が、十代の体温を徐々に下げている。
吹き抜ける風にぶるりと身が震えた。
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