陰陽のディーオ

□9章 「僕の部屋じゃないけど」
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ギル視点

リゼルさんの部屋を出て、オレたちはそれぞれに宛がわれた部屋に戻った。だけど、

「・・・・・・」
「・・・・・・」

また、部屋は沈黙に支配されてるっす!て、誰に報告してるんだオレ。

あっれー?おかしいな。また戻っちゃった?さっきは結構話してると思ったのに・・・・・・。
やっぱ、オレって嫌われてる?イヤ、違うか。この人を良く知る人たちがそう言ってたし。
じゃあ、なんだろ?話しづらいのかな。話題が出てこないとか。きっとそうだ。朔弥の質問には普通に答えてたしな。
よし、オレからなんか話そう!

「あの!」
「ん?なんだ?」
「えっと・・・その・・・」

と、意気込んだはいいけど、何を話せばいいんだ!?話題ねぇ!!
あー、何か・・・何かねぇかなぁ・・・

「えっと、・・・・・・ラーグさん、髪長いっすね!!」

て、何言ってんのオレー!!!???

「・・・・・・はぁ?」

ほらぁ、ラーグさんだって意味わかんないって顔してるじゃん!

「あ・・・いや、だって、フォルテさんとかより長いし・・・・・・」

 もう、仕方がない。この話題で押し通す!!

「フォルテは昔は長かったな。たしかに、そうだな・・・・・・好きで長くしてるわけじゃない。本当は切りたいがな」
「そうなんすか?じゃあ、なんで切らないんすか?まぁ、長いのもカッコイーっすけど!」

 良かった、意外と続けれそうだ。

「切らない・・・理由・・・?・・・・・・」

と、思ったんだけど。どうしたんだこの人。顔を真っ青じゃん。大丈夫か?

「すんません!あの、別に、イヤだったら無理に話さなくても・・・・・・」

てか、こんな顔色変えるような理由、正直聞きたくねー!!

「いや、いいんだが・・・。髪切ると、な・・・・・・俺のお母さんがな・・・・・・激甘料理・・・食べさせてくるんだ。ラーグちゃん、髪切ったら料理食べてもらうからねってな・・・。あんな、おそろしいもの、食べれるか!本当に死ぬ。それは、阻止したい・・・から、切ってないんだ」

途中から体も震わせながら話してくれた理由は、正直よくわからなかった。

「そうなんすか・・・」

てかそれ脅しなのか?激甘料理?てのがまずわかんねぇけど。どんな料理だよ、息子を脅すのに使われる母親の手料理って。

「あの料理は食べない方がいい。食べたら、死ぬぞ」

 でも、ラーグさんが嘘をついてるようには見えないし。その料理がやばいってことだけは確かなんだろう。

「わかりました。自分から死地へ向かう趣味はないんで大丈夫っす」
「そうか・・・・・・なら、良かったが。・・・俺の母さんの事なんて知らない方がいい・・・この話はやめだ」

オレの返事に、ラーグさんはひとまず納得してくれたみたいだ。・・・・・・何を?ま、いっか。
うーん、知らなくてもいい世界を知ってしまった・・・・・・?
てか、せっかく話せたと思ったら顔真っ青だし。どうすりゃいいんだよ、コレ。いや、知らなかった一面を見れたという意味では良かった・・・・・・のか?

「そっすね。そうしましょう!」

とりあえず、話題を変える方がよさそうっすね。

「えっと・・・・・・オレ、兄貴いるんす!もう・・・・・・7つ上なんで、先パイ・・・・・・アデレイドさんと同じくらいの年なんすけど・・・・・・」


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