陰陽のディーオ
□6章 痴話喧嘩と部屋割り
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リゼルは、疲れたように長い溜息を吐く。
「えっと、この事は……うん、おいといて……フォルテ、ラ―グ。この人達は……こちらから、アレスさん、サクヤさん、ギルバートさん、アデレイドさんというんだ」
「よろしくお願いします」
「ふうん…」
「……」
二人は警戒しているようで、四人をジッと見ているだけ。何も言わない二人に、リゼルは慌てる。
「二人共……えっと、こっちの青い髪の女の人が、フォルテ。金髪の男の人がラ―グです」
「はいはーい。初めまして。アタシは、フォルテ・メギレムというわ。フォルテでいいわよ。よろしくねん」
「……」
青髪の少女――改め、フォルテはあっさりと簡単に警戒を解き、笑顔を四人に向けた。
一方の金髪の青年、ラ―グはというと、表情を変えず、ましてや挨拶する事もなく四人を睨むように見続ける。その目には、警戒という文字がぴったりだった。
そんな彼にフォルテは呆れながら、彼に指をさした。
「んで、この無表情の人は、ラ―グ・ルウナっていうの。ラ―グでいいわ。……ほら、ラ―グ挨拶。あ・い・さ・つ!」
フォルテに言われ、一言「……よろしく」と言うだけで終わる。フォルテは唇だけ動かす。全くもう、と。
すると二人の前にアックスが近寄り、嬉しそうに両手を上げる。
「こいつら、なんか事情あってここに住むから! よろしくな!」
「「はあ!?」」
息ぴったりで二人は、驚き声を出した。アックスは楽しそうにニコニコと子供っぽい笑みをしている。
「それだけっすか!?」
ギルバートの言葉に、リゼルは頷く。
「驚くよね・・・ラーグが感情だした」
「反応そこなんすか!?」
そして、苦笑い。
ラ―グは何とか感情を抑え、アックスに問う。
「いや……何か事情とは……なんかってなんだ?」
「知らん!」
「なんで――」
知らないんすか!?、と真顔でいるアックスに言おうとしたが、アデレイドが殴ったため強制終了となった。
フォルテは「し、知らない…て、そ、そんな、はっきり……ふふっ」とプルプル震え、口を押さえ笑いを堪えていた。リゼルはというと、やっぱりな、と言いたそうに片方のこめかみを押さえていた。
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