陰陽のディーオ

□5章 オルガさんに会おう
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「まー、全部わかったぞ」

言葉の通り、オルガ自身は一人納得したように頷いている。

「・・・え?」

そんな様子に、アレスは少々違和感を覚えていた。
アックスから前以て聞いていた「温厚すぎる人」という評価には疑問を覚えるが、それは別に問題にするほどの事ではない。
ただ、頷くその様子が、ただののんきでマイペースな人物には見えなかったのだ。

「あいかわらずですね・・・」

しかし、まぁ。オルガのそんな様子も、彼らにとってはいつも通りの事だったようで。
声を張り上げこそしないものの、リゼルの赤い目はもの言いたげに細められていた。
いや、まぁ。要は、睨みつけていた。
客人の前で言うのを控えているだけで、本当はいろいろ言いたいことがあるのだろう。

「そうか?事情はわかった。なら、しばらくここに住んでいいぞー」
「よろしいのですか?」

気のなさそうな声での返答はともかく、先ほど覚えた違和感は拭えるものではなく、アレスの声は訝しげだった。
もっとも、それを表情に出すような真似はしないが。

「あー、いいよ」

ただの気のいい笑顔のようにしか見えないそれも、先ほどの感覚を思い出すと、見慣れないモノクルから覗く灰白色の目も相まって、すべて怪しく見えてしまう。

「よかったな、4人とも。」

アレスのそんな様子に気づかないのかあえて触れないようにしているのか、おそらく前者と思われるアックスは、純粋な笑顔で喜んでくれている。

「あっさりと・・・」
「困ってる人がいたら助けるって、誰かが言ってたぞ」
「誰ですか!?」
「気にするなって。気にしてたら、若はげになるぞ?」
「はげないです!と言いますか、そんなツッコませるようなこと言う方が悪いです!」

疑いの目を向けるのもばからしくなってしまうようなやりとりが目の前で繰り広げられ、アレスはため息をつきたくなるのをこらえる。
簡単に気を抜いていいものでもないし、それを抜きにしても、これから世話になる人間に対してとっていい態度ではないだろう。


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