陰陽のディーオ

□3章 未知の世界へ
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アレスは腰に付けた袋に付けた根付の石細工を握ると、魔力を込めて念じた。

「事務室、応答してください。」

石には魔法が宿っており、塔との通信の機能を持っている。
石が少し熱くなると、光を放ちどこからか声がする。

『はい。こちら事務室です。』

女性の声で応答があり、アレスは続きを話し始める。

「こちらアレス=クリエ、現在幻術隊との合同任務中です。」
『アレス様ですね。どうかなさいましたか?』
「トラブルが発生した。おそらく、異空間転移装置の不具合だと思います。」
『本当ですか!?すぐに、確認に向かわせます。』
「そうして下さい。」

何やら周りの人に指示を出す声が聞こえる。
しばらくすると、支持も一段落したようで女性の声が戻って来る。

『それで、今はどちらに?』
「わからない。少なくとも、馴染みのある妖精界や人間界じゃあないが・・・」
「アレス、地名が判明したよ。」

放っていた精霊の一部が戻ってきたようで、いくつかの小さな光がレイの周りに浮遊していた。

「教えてくれ」
「リア島と呼ばれる島らしい。」
「リア島・・・」
「ついでに、この世界の精霊も見つかったよ。一応、翻訳器に入れといた方がいい。」

レイは情報収集と共に、この土地の言語を教えてくれる精霊も捜させていたようだ。
少し感じる気配の違う、持つ魔力の傾向が異なる四つの光は、レイの精霊が連れてきたこの地に住む精霊なのだろう。

「そうだな。・・・翻訳器を持ってるのは?」

普通こうした任務では、現地へ行ってから翻訳器を受け取る。今回はハプニングにより受け取るどころかまず人にも会えていない状況のため、アレスは翻訳器を持っていない隊員がいることを心配した。
しかし、それは杞憂に終わり、アレス自身も含め全員の手が上がる。

「・・・・・・そうか、なら、問題ないな。」
「ギル、あんた翻訳器なんて持ってたのかい?」
「さっき、準備してるときに翼姉にもらいました。」
「へぇ。・・・じゃあ、お願い。」

レイの言葉と手の動きに答え、四つの光はそれぞれの翻訳機に向かう。
朔弥の耳を飾る白く輝く石の付いた耳飾りに、レイの首からさがる金のネックレスに、ギルの指にある赤い石の付いた金の指輪に・・・

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