陰陽のディーオ

□2章 アックスお使いに行く
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 テナンと別れたアックスは、ルンルンで廊下を歩く。目指すは、転移室。アックスがいるこの建物には、アークフォルドという組織がいる。その建物がある所は、リア島という島。他の大陸と離れているので、移動手段がない。あるとしても、船で行くぐらいしかないだろう。
 なので、転移装置があれば、楽なのでアークフォルドの主が転移装置を設置した。アックスも船より、装置の方が早いし、楽なので利用している。

「……というか、島になんて作らなきゃ良かったんじゃないのかな……」

 そう、思う人も組織の中にいるが、最近だとどうでもいいや、となっている。アックスも細かい事を気にしないので、言うだけ言って終わりである。

「ん? アックス。どこか行くのか?」

 アックスに声を掛けたのは、赤茶色の髪をした男。前髪にはピンを二つしており、他にもやたら飾りを付けている。その彼に嫌そうな視線を向ける。アックスは、最悪だと思う。しかし、聞かれたので一応答える。

「ユアかぁ。うん、今からテナンさんに頼まれて出かけるとこ」
「ふぅん……どこに?」

 少し間を空けた問いの言葉に、アックスは驚く。基本的にユアは、男の行く場所に興味無さそうな顔をする。聞いても、あっそう、とだけ言ってさっさと去ってくのだ。そもそも、ユアは男が大嫌いなのだ。話はそこそこにはするのだが、あまり話したくない雰囲気を出している。
 ハッと気づき、テナンから貰った紙を取り出して見る。
 
「えーと、ルーティアヌっていうとこかな」
「ルーティアヌ……」
「ちなみに渡しに行く人は……アザレアっていう人だね」

 紙を見るのを止め、顔を上げる。アックスは再び驚く。その理由は、ユアの顔が真っ青という事に気付いたからだ。

「うぉ!? ど、どうしたんだ、ユア!? すっげぇ、顔青いぞ!」
「…お前、そいつ、誰か知ってるか……?」
「しらねー」

 キョトンとするアックスだったが、すぐにそう答えた。「で、誰?」と聞くが、ユアはその問いを無視した。

「……そうだ。ちょうどいい。これ、その人に渡してや」

 アックスが返事をする前に、ユアは素早く彼の手に手紙を置く。そして、「よろしく」と言うと、一目散に逃げた。
 それを見て数秒後、アックスはやっと反応した。

「お、おい! 僕は、いいって言ってな……て、行っちゃった」

無理矢理というよりも、勝手に置かれた手紙を眺め、諦めたのか溜息をついた。

「まぁ、同じ人だからいいけど。しっかし、ユアがあんなに真っ青になるなんて、どんな人なんだろう? 気になるなー。楽しみだなー」

 そんな事を言いつつ、アックスはそこへ向かうため、転移室へと足を進めた。


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