陰陽のディーオ

□1章 異世界への任務
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 「朔弥、またどっか行くの?」
「うん。今度は妖精界。」
「へぇ・・・長くかかるの?」
「一週間くらいかな?往復で二日くらい。向こうでの仕事が何日かかるかわからないから・・・」
「じゃあ、長くて一週間?」
「たぶんね。」

朔弥は光月邸へ帰り、自分の部屋で荷物の準備をしていた。
容姿だけでなく仕事も同じだが、今日は非番の双子の弟が、そんな朔弥の様子を部屋の隅から見ていた。

「そういえばさ、妖精界ってどう行くの?」

異世界での任務は珍しいもので、幼い二人はまだあまり経験したことが無い。

「人間界へ行った時と同じだよ。時空間転移の魔法陣が作ってある部屋に行って、登録してある場所へ飛ぶ。任務地は火の国だけど、転移先として話しつけてあるのがウェイグル王国・・・空の国だから、まずは空の国へ飛んで、そこから火の国へは足で移動・・・かな。」
「大変だね。」
「まぁね。でも、一人じゃないし。」

笑顔の朔弥に、弟・巧夜は、自分も知っている、そして朔弥が頼りにしていることもよく知っている先輩が同行することを悟り安心する。

「気を付けてね。」
「ありがとう。」

これ以上準備の邪魔をしないようにと、巧夜は部屋を出る。

「あ、巧夜。」
「何?」

朔弥は、廊下に出た彼を呼びとめた。

「・・・何か用があったんじゃないの?」
「え?・・・・・・あ、」

朔弥の言葉に巧夜は一瞬キョトンとした顔をして、すぐに何かを思い出し部屋の中に戻って来る。

「そうそう。後期の時間割持ってたら見せて。新学期始まったらすぐに決めなきゃじゃん?」
「あー、いいよ。ちょっと待ってて。」

朔弥は準備を中断し、学習机から時間割を取り出す。
2人は同じ学校に通っており、その学校は二期制で、多くの選択授業があるのだ。

「朔弥はもう決めたの?」
「だいたいね。あとは、今度シンリの家行った時に決めようかなって。」
「そっか。・・・僕も、友達と同じ授業取ろうかなー」
「その方が楽しいよ。」
「だよね!じゃあ、ありがとう。がんばってね。」
「うん。行ってきます。」


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