陰陽のディーオ

□1章 異世界への任務
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1章 異世界への任務
 〜ユクリナシ〜


 魔界歴2363(光明2年)年 白翼の月

「4人そろうのは久しぶりだね。」

魔王直属軍特別隊本部、通称「塔」の一室に、三ヶ月前のある日と同じメンバーが集まっていた。
長方形のテーブルの向かいに腰かける二人に、そう声をかけたのは、四人の中で一番年長の、しかしそれでもまた二十代中頃の、鳶色の髪の女性だ。

「そうだな。あれから調子はどうだ?」

明らかに年上の彼女に、向かいに座った赤髪の少年は気さくに言葉を交わす。

「そうだね。ギルの昇格も近いんじゃないかい?」
「マジっすか!?」
「頑張り続けていけばね。」
「よっしゃあ〜!!」

ギルと呼ばれた群青色の髪の少年は、同じく群青色の瞳を輝かせて喜びを示した。
赤髪の少年の問いに答える形でされた彼女の話は、ギル本人も初耳だったようだ。

「あの・・・それで、今回の任務はどのようなものなんでしょうか?」

3人のやり取りを赤髪の少年の横で静かに聞いていた、まだ幼さの残る顔立ちの亜麻色の髪の子どもが、控えめに今回集まった本題を切り出した。

「あー・・・朔弥は、聞いてなかった?」
「資料は一通り読んだのですが、先週まで人間界にいたので・・・」

女性の少し驚いた様子の返答に、朔弥は恥ずかしげにそう答えた。

「そっか。こっちの情勢がよくわからないと。」
「はい。」

光月朔弥は、学校の長期の休みを利用し、初めての長期任務から帰ってきたばかりだった。
長期任務というのは、半月以上、半年未満の期間遂行する任務の事である。
彼ら4人は、この魔界において一番の権力を持つ魔王の直属軍、その中でも一定以上の能力を認められた志願兵のみが集まる特別隊に所属する軍人なのだ。
ギルと朔弥は学生であるものの、その能力を認められ学業の傍ら任務に勤しんでいる。

「人間界かぁ。アレス君も一緒だったんすよね?」

ギルの言った通り、朔弥が先日行ってきた任務は、赤髪の少年・アレスもともに行ったものであった。

「あぁ。でも、俺は朔弥より一週間くらい先に帰ってきたから。」
「なんで?」
「オレは、向こうの親類の家で少しゆっくりさせてもらってきたから。」

ギルの問いに答えたのは、朔弥本人だった。

「へー、夏休みもらったのか!」
「そんなところ。」
「さて、どこから話せばいいのかしらね。」

そのまま夏休みの話に突入させかねないギルを視線で黙らせ、女性はアレスに話の続きを促した。


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