陰陽のディーオ
□3章 未知の世界へ
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3章 未知の世界へ
〜遭難と遭遇〜
塔の時空転移装置により旅立った四人は、突如木々に囲まれた森の奥深くに現れた。
転移独特の浮遊感に戸惑う者もいつつ、四人は危なげなく地に足を着けた。
いや、鳶色の髪の彼女は少しバランスを崩した。しかし、後輩の補助により事なきを得る。
「なんであんたは平気なのさ。」
「飛ぶのには慣れてるっす!」
「なるほど。・・・・・・助かったよ」
遊撃隊の二人がそんな会話を交わしている中、隠密隊の二人は静かにあたりの気配を探っていた。
「どうしたんすか?」
「・・・そういえば、ここであってるのかい?」
二人の様子に気づいたアデレイドとギルバートも、理由はわからないまま辺りに注意を向ける。
「予定ではウェイグルに着くはずなんだが・・・違うな。」
「アレスさんは、妖精界は二度目でしたっけ?」
「あぁ。」
「じゃあ、前来たのと違う場所なんすか?」
「あぁ。だが、普通は同じ場所に来るはずなんだ。」
時空転移装置を使った場合、装置に登録されている世界の、登録された場所へ転移する。
自力で転移魔法を使った場合と違い、転移先は、世界が同じである以上同じ場所のはずなのだ。
「・・・ていうか、妖精界ですらないんじゃない?ここ」
アデレイドは、来てすぐに感じていたなんとなくの違和感の正体に感づき、アレスへと問う。
「その可能性がある」
「マジッすか!?」
「・・・・・・そうですね。確かに、精霊の気配が希薄すぎます。」
朔弥も同じことに気付いていたらしく、アデレイドの考えを強めた。
「・・・・・・レイ、手持ちの精霊はいるな?」
「えぇ。・・・思った通り実体は無いようだけど。」
ここが妖精界だったならば、精霊たちの住む世界。普段、他の世界では実体のない彼らも、自分たちの住むその場所では、実体を持ち普通の生活を送っている。
そのはずなのだが、そのあるはずの実体がない。
それはつまり、ここが来るはずであった妖精界ではないことを示している。
「精霊たちに、すぐにこの地を探らせてくれ。できるだけ情報が欲しい。」
「わかった。」
アレスの命を受け、レイは無数の精霊を呼び出し全方位へと向かわせる。
「朔弥とギルは周囲を警戒。俺は塔へ連絡を取る。」
「はい。」
「了解っす!」
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