陰陽のディーオ

□9章 「僕の部屋じゃないけど」
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第九章 ぼくの部屋じゃないけど


 話し合いの後、4人はリゼルの部屋で食事を済ませた。食文化が大幅に違うということもなく、むしろおいしいと言える料理に舌鼓を打ち、その余韻に浸っている中、部屋に近づく気配に気付き、ドアへと目を向ける。

「たっだいまー・・・ま、僕の部屋じゃないけど!」

ノックもなく勢いよく入ってきたのは、4人の想定通り、アックスだった。

「おかえりなさい、です。私の部屋ではありませんが」

 必要な話も済ませていたため、特に慌てることもなく、朔弥が応じる。

「二人して何言ってんのよ・・・」
「すみません・・・ノっといたほうがいいのかな?と」
「ははは・・・・・・」

 しかし、続いて入ってきたフォルテに苦笑いをされてしまった。

「朔弥、ムリはしなくていいんだぞ?」
「・・・・・・そうだね」

 ギルにもそう言われて、慣れないことをするものではないな、と朔弥は結論付けた。

「そうだな。このアホに付き合うと大変だからな」
「アホって言うなー!」

 フォルテと共に来たラーグにも呆れられて、アックスはご立腹のようだ。しかし、そのやりとりも、どこか慣れた感じがして、微笑ましいものに見えてしまう。

「楽しくていいんじゃないか?」

アレスのそんな言葉に、他の三人も同意する。

「そうだね。・・・・・・しかし、元気だねー、君らは」
「先輩、おばさん臭いっす」
「ギル?」
「・・・・・・・・・・・・すんません」

 そんな彼らの反応が気に食わないのか、ラーグは少々不機嫌な顔になる。

「元気なのはこいつだけだ」
「・・・・・・うーん、そうねー」

 また苦笑いを浮かべるフォルテは、肯定も否定もしなかった。やはり、よくあることなのだろう。

「ところで、リゼルさんがいないみたいだけど」
「リゼルさんの部屋なのに・・・。どうかされたんですか?」

 アレスが口にした疑問に、朔弥も気になったために質問を続けた。

「えっとねー、オルガさんのとこに行ってるんだー!」
「オルガさんのところに?そっか、何の話をしてるんだろうな」
「さぁな」
「さぁね・・・」
「・・・わかんなーい!」

アックスの返答に新たに生まれた疑問を口にすると、三者三様の答えが返ってきた。ラーグはそっけなく、フォルテは困ったように、アックスは満面の笑みで。

「だよな」

それぞれの性格が現れたそれに、アレスは内心で笑っていた。


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