陰陽のディーオ

□6章 痴話喧嘩と部屋割り
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 各自の部屋がある方へ向かう廊下を歩いていると、人影が見えた。その数、二人。

「あ、フォルテ達だ」

 二人を見たアックスは名前を言う。
 一人は少女で、肩より少し短い青い髪。もう一人は青年。金髪の長い髪を後ろで縛っている。
 しかし、様子がおかしい。よくよく見ると、少女が腰に手を当て、青年の前に仁王立ちし、怒っていた。リゼルは呆れた顔をする。

「……また喧嘩してるよ……」
「よくあることなのですか?」
「うん。よくある事……だね。ケンカっていうより、夫婦ゲンカ?」
「……」

 アレスの質問に答えたアックスの言葉に何も言う気にならないが。しかし、今、彼が言った最後の部分、それが聞こえてはいないと思うが、聞こえてない事を祈る。
 言い合いを続ける二人に近づくと、声が聞こえ、少女が怒っている理由が分かる。

「まぁた、アンタは手をぬいたわね! いっつもいっつもー! そんなんじゃ、稽古にならないわよ」
「本気のつもりだったんだが・・・」
「嘘! わっかりやすいのよー! アンタ、覚醒してるんだから、その程度なわけないじゃない!」
「・・・・・・」

 アデレイドとギルバートは、少女が言った「覚醒」というワードに首を傾げる。サクヤも少し表情を変える。それは、小さな驚きだった。

「まったくもー。次、手ぬいたら切り刻むわよ・・・・ん?あれ、アックスにリゼル。・・・・後ろの人たち、誰?」

少女が青年に向け、指をさす。そして、リゼル達に気付き、四人の事を問う。青年も少女の言葉につられ、振り向く。

「あー、ケンカおわった?きりきざむって・・・」
「喧嘩ではない! 思った事を言ったまでで・・・あれ、アタシ、切り刻むなんて物騒な言葉言いましたっけ? オホホホホ」

 笑い声は棒読みすぎて、ギルバートは苦笑いをする。そんな彼女を青年はチラリと見る。

「普通に言ってたぞ」
「黙れ。女たらしが」

横目で青年を睨む。青年は小声で、「女たらしではない」と呟く。少女は聞いていたが無視した。ギルバートは苦笑いを消し「怖っ」と少女から目をそらした。





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