陰陽のディーオ

□2章 アックスお使いに行く
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「うん。分かった、そう伝えとく」
「あ、アックスさん。この手紙、あの馬鹿に渡しといて下さい」

 さらさらとペンを走らせ、手紙を書くとアザレアは封筒に入れ、サレリアスに渡し、彼から封筒を受け取る。それには、宛て名が書いてなかった。心で苦笑いしながら、封筒を鞄にしまう。

「りょーかい。絶対に渡しとく」
「ありがとうございます」
「それより、そのピン、可愛いね」
「そうですか? 嬉しいです」
「ユアも色違いでつけてたよ。同じ感じで」

 そう言うと、アザレアは胸を張る。

「それは当然ですわ。私が、色違いであげたのですから。無くしたら、制裁しますわ」
「そ、そうなんだ。でも、結構、大事にしてたよ? うん」
「そ、そうですか」

 嬉しそうに言う彼女に、今度はユアに行かせるようにテナンさんに言おうと決めた。

「お話しながら、ケーキを食べましょうか。せっかくのお菓子が台無しになってしまいますし」
「それにさんせーい! じゃあ、アークフォルドの事、色々話すよ」
「あら、いいですわね。面白そうな所でしょうし」
「うん。かなり個性的な人達がいるよ!」
「例えば、どなたが?」
「うんとねーコトハかな。口調がござるなんだよ」

 冷めた紅茶を飲み干し、サレリアスはすぐ、中身を注ぐ。お菓子を食べながらの話は、続く。気がつくと、結構な時間が経っていた。すると、ノック音が聞こえる。

「アザレア様、お客様が……」
「あら、もうそんな時間かしら」
「ん? 長くい過ぎたかな? 僕、そろそろ帰るよ。あんま遅いと怒られるし」

 アックスは、イスから立つと、鞄を持つ。アザレアも立ち、門まで送っていくと言う。サレリアスもついてくるようだ。玄関を出て、門までやってくると、アックスはアザレアとサレリアスを見る。

「お菓子ありがとー」
「こちらこそ、面白いお話をありがとうございます。また、是非、来てくださいね」
「いいの?」
「はい。私もサレリアスも待ってます」
「今度も、たくさんお菓子を作って待ってますよ」
「やったー! うんじゃ、また今度ー!」

 アックスは手を振ると踵を返した。彼の姿が見えなくなるまで、二人は見送った。視界から彼がいなくなると、屋敷へと、戻っていった。






 
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