Novel

□恋に恋した運命の人
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 『広野君がしたいなら、どうぞ♪番号は080…』

 ストレートに私も話したいとは言えず、瑞紀とも言えず、なんだかよそよそしい。
でも仕方がない。
私はそっと、でも思いを込めて送信ボタンをカチっと押した。

 送りきったかきらないうちに、
またあの着うたが流れる。
でも今度はメールじゃない、電話だ。

 心臓が壊れるのではないかと思うくらい、ドキドキしてる。
もともと電話が苦手だから、余計に。

 「も、もしもし?」
 ちょっと裏返ってしまった。
 「あ、俺だよ〜。ごめんね、夜遅いのに」
 確かに。今は23:00をとうに回っている。
 「別に、いいけど……どうしたの?」
 「いや、あのさ! なんか、橋本にメールしたら、昔を思い出して……」
 電話の沈黙は待てない私。
 「……思い出して?」
 「いや、その……話したくなったんだよ!! メールじゃなくて」
 「そっか」
 「ほんとごめん。めいわくだよな?」
 「いいよ、大丈夫! 昔すごくしたかったし笑」
 「え?」
 「あ、いや、気にしないで♪」
 「おぉ」
 「……」
 「……」
 
 だめだ。未練が押し寄せてくる。
普通に友達としてなんて、話していられない。
私やっぱり、瑞紀のこと……。

 『あのさっ!!』

 折角勇気を持って切り出したのに。
どうしてここで被っちゃうかな。

 「広野君から、どうぞ?」
 「わりぃ。じゃ、遠慮なく……」

 「はぁ……よしっ! 突然変なこというんだけどさ……俺、橋本のこと、好きだったんだ」

 「うん」

 「別れてから、ずっと。だから今日も、メールしたんだ」

 「うん」

 「だからさ、俺と、もう一度、やり直してもらえないかな」
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