Novel

□恋に恋した運命の人
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 私はなんのためらいもなく、携帯のアドレスを送る。
なぜだろう、さっきまでは嫌な思いしか浮かばなかったのに。
やっぱり付き合ったていただけに、心の底に好意が残っているのだろうか。
今は無性に連絡がとりたい。

 「瑞紀……」

 私はまた呟く。
あの時は本人にそう声をかけることすら、できなかったくせに。
 
 呟いて3秒と待たずに携帯の着うたが流れる。
瑞紀があの時すすめてくれた、曲。
さっきのアドレスを先に登録しておいた。
なんだか恥ずかしい。
元彼を忘れられない未練たらたらの人のようで。
瑞紀はそんなこと微塵も思っていないのに。

 『俺今、橋本と話したいんだけど、電話してもいい?』

 私を橋本なんて呼ぶ人、今の学校には居ないなぁ、なんて思ってしまう。
私は今、晴菜(はるな)としか呼ばれない。
瑞紀も晴菜と呼んでくれてたのに。
 やっぱり瑞紀はなんとも思ってない。
私もそうしなきゃ。

 返事の早い彼に遅れをとらないように急いで返事を打つ。
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