■リクエスト小説

□水晶と獣達〜風の行方と新たな扉〜
1ページ/10ページ

真っ青な空の下、今日も風は吹く。
草原の緑が揺れ、風車が回る。
ここはとある小さな村。
木で造られた質素な家が五、六軒あり、真っ赤なレリーフルーツの田んぼがあるくらいで、特に目をひく物はない。
レリーフルーツとは、先にも言ったように、真っ赤な色をしていて、とてもみずみずしくて甘い果物だ。
その割には、育て方も簡単で大量に作れるため、こういう小さな村では積極的に栽培されている。
しかしこの村では、そのレリーフルーツの栽培が、ある事のために危機に晒されていた。
レリーフルーツは育て方こそ簡単なのだが、栽培には沢山の水が必要なのだ。
この村では、水の供給を一棟の風車に頼っている。
風車は風の力を受けて動力を得て、地下から水を組み上げて村に供給しているのだが、その大元である風が、近々全く吹かなくなってしまう…というのだ。
これは村にやって来る、風鳥便の便りで知らさ

れたことなのだが、それによると、この地方の風の力を司っている「風竜」が、邪悪な何者かによって風の力を封印され、風を吹かせることが出来なくなってしまったとのことで、今は辛うじて風を吹かせることが出来ているが、それもあともって一ヶ月が限界だというのだ。
しかも風竜は、風の力を奪われたことにより、徐々に魂がすり減って来ていて、一刻も早く封印を解かないと、風竜の命は尽きてしまうというのだ。
風が吹かなければもちろん風車は動かない。
そうするとレリーフルーツは枯れてしまい、村の貴重な収入源が無くなってしまう。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ