■きつねの短編小説集

□妖怪ワラジと九尾の狐
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世はむかし、あるところに一匹の狐がいました。
その狐の名前は「九尾の狐」。
憎しみや悲しみ、怒りさえも一手に受け、皆から恐れられ、忌み嫌われる狐でした。
九尾の狐も、最初はそんな役柄などやりたくはなかったのですが、神々の中には、怒り、苦痛、悲しみ、嫉妬、憎しみ、恨み、絶望、失望、という嫌われ役を好んで引き受ける者などいなかったのです。
九尾は、神々が誰も名乗りをあげない中、ただ一人名乗りをあげ、この汚れ仕事を引き受けたのでした。
元々美しく、心優しい女性の姿をしていた九尾でしたが、仕事をしていくうちに、しだいにその姿は恐ろしい九つの尾を持つ狐の姿に変わってしまったのでした…
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