■きつねの短編小説集

□†こぎつねのシロ†
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ある所に一匹のこぎつねがいました。

このこぎつねの名前は「シロ」。

秋なのに、雪がしんしんと降る朝に生まれたので、この名前をつけられました。

こぎつねが住んでいるのは、コンコン山という、きつねたちがたくさん住んでいる山の中でした。

その山の中で、シロはいつも友達のきつねにバカにされていました。
きつね色をしているくせに「シロ」なんていう名前…と。

しろはこんな自分の名前が嫌いでした。
なんでこんな名前をつけたのかとお母さんに聞くと、いつも決まって
「あんたはね、秋の白い雪の降る朝に生まれたのよ。だから、真っ白な雪みたいに心がきれいなきつねになって欲しいと思ってつけた名前なのよ」

なんて返ってきます。シロはいつも思うのでした。
なんで秋なんかに雪が降るんだ!ばかやろーと。
今更そんなことをうらんでも仕方ないのですが、毎日の友達からのいやがらせを受けると、シロはそう思わずにはいられなかったのです。

そんなある日。シロが住みなれた山から突然居なくなりました。

もう一番あわてふためいたのは、シロのお母さんでした。
心配して、山のきつねたちに「シロを見なかった?」と聞いてまわっていました。

そんなお母さんの様子を、バツが悪そうにみているきつねたちがいました。

そう。いつもシロをいじめていたこぎつねたちです。
その日もいつものようにシロをいじめていたこぎつねたちでしたが、今日はいちだんとひどいものでした。
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