■モンスターファーム物語
□第四話 招かれざる物?
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「よーし!ガルゥ!もう一度行くぞ!」
ファームの中から、今日もウィンとガルゥの元気なかけ声が聞こえてくる。
今日のトレーニングは「ドミノ倒し」だ。
ドミノ倒しというのは、力を鍛えるために厚さ15cmほどの岩板を縦一列に四枚並べ、そこへ打撃を与え順番に倒していくというものなのだが…
実はガルゥ、ファームでトレーニングを始めて二週間ほどになるが、未だにこのドミノ倒しを成功させたことがないのだった。
ガルゥの目の前の岩板は、真ん中にヒビこそ入ってはいるものの、まだ一枚も倒れていない。
「さあ!休んでるヒマはないぞガルゥ。何度も練習して体で覚えるんだ!」
すぐ横で見守るウィンから声がかかる。
『ガルゥ!』
荒く息をしながら額を拭い、ガルゥは岩板の前で目を閉じ、握った右の拳に全神経を集中させる。
拳に熱がこもり、白い熱気が隙間からもれ出てくる。
そして、十分に神経を研ぎ澄ましたガルゥは、カッ!と目を開き、拳を思いっきり振り上げた。
『ガールゥゥゥっ!!』
勇ましいかけ声と共に、振り上げた拳が岩板へと伸びていく…!
だがその時…
「おーほっほっほ!マリアちゃんは本当にジャンプがお上手ねぇ♪」
今まさに岩板に殴りかかろうとしていたガルゥの目に、隣のファーム「ミリィの楽園」のピンクゴーレム、「マリア」がトランポリンで飛び上がる光景が入ってきた。
頭に真っ赤なリボンをつけたゴーレムが、野太い声を上げつつ天高く舞い上がる姿は、ガルゥの集中力を削ぐのには十分だった。
次の瞬間、ガルゥの右の拳は大きく左に逸れ、地面の中にめり込んでいた。